ニワトリレンタルの人気が急上昇、コロナ下の米国

哺乳類のペットに匹敵する魅力、卵も採れる

2021.05.24
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パンデミックの間、ニワトリがペットとして人気を集めている。長ければ10年ほど生きる。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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「やあ、君たち」。囲いの扉を開けながら、ジョン・ファルジア氏は声をかける。中ではメスのニワトリ約50羽が鳴き声を上げ、闊歩している。ファルジア氏は手を伸ばしてふわふわの茶色いニワトリを抱き上げ、腕にかかえた。「レッド・クロスなんだ」と言いながら、赤いトサカと肉垂(にくすい)を指差す。「本当にかわいい子なんだ」(レッド・クロスはロードアイランド・レッドのオスとコロンビアンのメスによる交配種)

 気の優しいこの雌鶏は、ファルジア氏が経営するニワトリのレンタル業、CTレンタ・ヘン(CT Rent a Hen)の一員として、まもなく誰かの腕の中に納まることになる。

 多くの米国人が、パンデミックによるロックダウンのストレスに対処しようと子イヌや子ネコを飼った一方で、ニワトリに癒しを求める人もいる。飼い主たちによると、ニワトリの世話をすることで、自足しているという感覚や家庭的な雰囲気を味わえるだけでなく、哺乳類に匹敵するほど心を通い合わせることもできるという。そして、毎日の新鮮な卵も手に入る。(参考記事:「ペットはコロナ禍の癒やしになるとは限らない、研究」

 ニワトリレンタルのコンセプトはさまざまだが、ほとんどの会社が、卵を産める雌鶏2〜4羽を1~6カ月間、貸し出している(雄鶏は大抵、攻撃的すぎる)。ニワトリは、外敵から守ることのできる専用の鶏小屋、餌、寝床、そして教材とともに届けられる。借り手の元には、ニワトリが十分に成長できる屋外スペースも必要だ。

 2020年は全国的にニワトリのレンタル需要が急増し、2021年も前年並みだと複数の事業者が述べている。ファルジア氏がパートナーのマリサ・ファブリッツィ氏と米コネティカット州で経営するCTレンタ・ヘンでは、今年4月の時点で180羽のニワトリをすべて貸し出している。昨年は3月までに全羽が貸し出しとなり、80家族のキャンセル待ちがあった。例年であれば、6月まではそうはならない。

「(ニワトリが)足りなくなってしまいました」と、ペンシルベニア州でレント・ザ・チキン(Rent The Chicken)を経営するフィル・トンプキンズ氏は言う。同氏が妻のジェン・トンプキンズ氏と共に営む同社は北米最大のニワトリレンタル会社で、米国の26州とカナダの数州でニワトリを供給する地元企業と提携している。トンプキンズ夫妻は例年、45~55の鶏小屋を貸し出してきたが、2020年には約3割増の72の小屋を貸し出した。

 メリーランド州ジャーマンタウンにあるレンタクープ(RentACoop)社では2020年、レンタル数が例年の50~60羽から120羽へと倍以上に増えた。「ニワトリを見つけるのが本当に大変でした」と共同経営者のダイアナ・フィリップス氏は言う。養鶏するブリーダーの側でもニワトリが完売してしまったそうだ。

次ページ:「自分でも驚くほど、ニワトリがいるのが楽しかった」

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