コロナ探知犬いよいよ、非常に高い成功率、研究

米ペンシルベニア大学で訓練進む、フィンランドではすでに活用例も

2021.05.21
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新型コロナウイルス検査で陽性となった人が着用したTシャツが入った容器を探して、8本の腕が伸びる金属製ホイールの周囲を歩くスモール・ミュンスターレンダーのトビー。「実験ではたびたび、トビーはちょっとしたスーパースターになります。サンプルを見つけ出すのがとても速いのです」。トビーの里親であり、米ペンシルベニア大学ワーキングドッグ・センターの博士研究員ジェニファー・エスラー氏は語る。センターではコロナ探知犬の訓練を行っている。(PHOTOGRAPH BY SABINA LOUISE PIERCE)

 トゥッカはフリスビーで遊ぶのが好き。グリズは、やわらかいオレンジ色のボールがお気に入りだ。トビーは、暇な時間には昼寝をしたり、通り過ぎる車にほえたりして過ごす。どこにでもいるような犬たちだが、実は驚異的な能力を持っている。彼らは新型コロナウイルス感染者のにおいを嗅ぎ分けられる探知犬なのだ。

 新型コロナウイルスの感染には通常、PCR検査などが利用されている。そんななか、米ペンシルベニア大学獣医学部の研究チームは、犬にも感染の有無を探知できる能力があるかどうかを究明する取り組みを進めてきた。

 4月14日付けで学術誌「PLOS ONE」に、このPoC(概念実証)実験の結果が発表された。論文によると、新型コロナウイルス陽性者の尿や唾液には、犬がそれと特定できるにおいがあることが明らかになった。なお、すべての実験でウイルスは不活性化されていた。研究者たちは現在、トゥッカ、グリズ、トビー、リコ、ロキシーの協力を得て、ウイルスを含む汗が付着したTシャツを犬が嗅ぎ分けられるかどうか実験中だ。

 犬が衣類に含まれる新型コロナウイルス感染者のにおいを正確に探知できれば、空港やスタジアムなどの公共の場を巡回して感染者を見つけ出せるかもしれない。

「実際に実用化できるかどうかが大きな問題です」。論文の上席著者で、ペンシルベニア大学獣医学部ワーキングドッグ・センターの所長であるシンシア・オットー氏は話す。「犬が感染者を識別できれば、今後の可能性が広がります」

ジャーマン・シェパードのリコを訓練するワーキングドッグ・センターの所長シンシア・オットー氏。探知犬を訓練すれば、将来的に、空港やスタジアムなどの公共施設で新型コロナ感染者の探知に活用できると考えている。(PHOTOGRAPH BY SABINA LOUISE PIERCE)

感染者の汗のにおいを探知

 人間より1000倍から1万倍も優れた嗅覚をもつ犬は、すでに多くの場面で活躍している。例えば、パーキンソン病、糖尿病、いくつかの種類のがん、てんかん発作の前兆、マラリア、その他の病気を早期の段階で見つけ出すことができる。(参考記事:「【動画】犬がてんかん発作のにおい判別、初の証明」

 また、自然災害の発生時には捜索・救助チームに協力し、軍事行動においては隠れた爆発物を見つけ出す頼もしい仲間となっている。税関では、検査官と組んでドラッグや象牙などの密輸品を捜索する探知犬も活躍している。さらには、密猟者を追跡したり、絶滅危惧種や侵略的外来種を検知することもある。(参考記事:「戦場で兵士を守る犬たち」

次ページ:尿と唾液では96%正しく探知

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