新種のコガネガエル属(Brachycephalus rotenbergae)は、ブラジルのマンチケーラ山脈で発見された。(PHOTOGRAPH BY EDELCIO MUSCAT)
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 オレンジ色で、蛍光を発し、親指の爪ほどの大きさしかない新種のカエルがブラジルの大西洋岸森林で発見された。コガネガエル属の一種で、新たに付いた学名はBrachycephalus rotenbergae。論文は4月28日付けで学術誌「PLOS ONE」に発表された。

 コガネガエル属には少なくとも36種が存在し、ハロウィーンでおなじみの野菜に色が似ていることから英語では「pumpkin toadlet(カボチャ小型ヒキガエル)」と呼ばれている。コガネガエル属の鮮やかな皮膚の色は、ヤドクガエルなどと同様に、触れると死に至るほどの毒があることを捕食者に知らせる警告色ではないかと考えられている。(参考記事:「自らの猛毒耐えるカエルの謎を解明、応用に期待も」

 今回報告されたカエルは、ブラジル全域で新種のコガネガエル属を探す大規模な調査の中で発見された。見つかった生物を特定することは、ブラジルの生物多様性を保全する上で大変重要だ。中でも大西洋岸の森林のように、多くの種が生息する地域ではなおさらだ。大西洋岸森林では、森林伐採と農業によって元の森林面積の93%が失われたと専門家らは述べている。

 ブラジルには世界で最も多くの種の両生類が生息しており、その数は1000種を下らない。しかし世界的に見ると、両生類は脊椎動物の中で最も絶滅の危険性が高いグループで、とりわけ気候変動の影響を受けやすい。(参考記事:「501種の両生類が減少、90種が絶滅、ツボカビ症で」

「自分以外の誰も知らない新しいものを目にしているときが、科学者にとって最高の瞬間です」とブラジル、サンパウロ州立大学の爬虫両生類学者で、今回の研究を率いたイバン・セルジオ・ヌネス・シルバ氏は語る。

「しかし残念ながら、近頃は新種を記録するより速いペースで未特定の種が失われています」

他種にはない特徴

 ヌネス氏のチームが今回の新種B. rotenbergaeを発見したのは、標高2000メートルを超えるマンチケーラ山脈における現地調査でのことだった。調査は2018年から2019年にかけて76回にわたって行われ、チームは岩石が露出した場所や、森の中を流れる小川沿いを何時間も歩き回った。

 研究所に戻ると、チームはこのカエルのDNAサンプルを採取し、既知のコガネガエル属と比較した。体の特徴や行動、繁殖期の鳴き声の分析も行った結果、これが新種であると判断した。

 例えば、この新種は、他の既知のコガネガエル属より体が小さく、口先も小さい。他にも、皮膚に薄い黒の模様があり、大西洋岸森林の標高の高い場所を好むなどの特徴がある。(参考記事:「体長1センチの新種カエル、7種を発見、コガネガエル属」

参考ギャラリー:色鮮やかで美しいヤドクガエル 写真12点(画像クリックでギャラリーへ)
ナショナル ジオグラフィックの写真家ジョエル・サートレイ氏が進めている「絶滅から動物たちを守る撮影プロジェクト Photo Ark」より、鮮やかで美しい色をしたヤドクガエルたちを紹介する。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

次ページ:「新種」には異論を唱える研究者も

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