195カ国を旅行した初の黒人女性がコロナ下で考えること

各国を訪問して学んだことや持続可能な旅へのヒントを、ジェシカ・ナボンゴ氏に聞いた

2021.05.09
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

――尊敬する旅行家はいますか。

ナボンゴ氏:バーバラ・ヒラリー氏です。黒人女性として初めて、北極点と南極点に到達した人です。しかも、75歳と79歳のときにそれを成し遂げました。驚異的だと思いませんか。あとは、車椅子に乗って37カ国を訪れたコリー・リー氏。私には車椅子での生活は想像できませんが、障がいがあっても世界を見たいというリー氏の思いを止めることはできません。また、インスタグラムでフォローしているトラベリング・ブラック・ウィドウという女性は、31年間連れ添った伴侶を亡くした後、世界を見る旅へ出ました。そんな彼女が好きです。

 多様性(ダイバーシティ)というと、多くの人の頭に思い浮かぶのは人種的多様性でしょう。けれど、障がい、年齢、体形など、多様性には様々な種類があります。すべての人が、受け入れられなければなりません。限界にとらわれることなく生きている人を見るのは、気持ちがいいです。

――旅行家としてのキャリアを築く前は国際開発を勉強し、国連とも仕事をされていたそうですね。この経験が今役立っていると思いますか。

ナボンゴ氏:確かに、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで政治や経済の歴史について学んだことによって、心が開かれ、世界についての知識が広がりました。国連との仕事も、大変興味深い経験でした。おかげで、植民地時代の後、世界がどう変わったかについて理解が深まり、それぞれの国が今どんな影響を及ぼしているかがよくわかるようになりました。 (参考記事:「コロナ禍が続く中、クルーズ船はなぜ運航を再開するのか」

 旅行とどう関係があるかというと、簡単な例として、かつて植民地だった国を結ぶ航空路線が挙げられると思います。特にアフリカにあるフランスの元植民地へ行くには、パリを通過するのが最も簡単です。フランス人が多く住んでいるため、フランスの航空会社が路線をほぼ独占していますから。

――一番危険だと思った場所はどこですか。

ナボンゴ氏:南スーダンの話をしましょう。米国大使館は、米国市民に南スーダンへ旅行しないよう強く呼び掛けています。危険すぎるとアドバイスしてくれた外交官もいました。政情不安のため、恐ろしいことも起こりました。けれど、この世界には100%安全な国も、100%危険な国もないと思っています。そこに行けば、求めているものを見ることができる。私が求めるものは人間性や愛ですから、それを見に行くことにしました。

1991年に、両親の故郷であるウガンダを訪れた時の写真。父親と一緒にバイクに乗るナボンゴ氏(真ん中)と姉。(PHOTOGRAPH COURTESY JESSICA NABONGO)
1991年に、両親の故郷であるウガンダを訪れた時の写真。父親と一緒にバイクに乗るナボンゴ氏(真ん中)と姉。(PHOTOGRAPH COURTESY JESSICA NABONGO)
[画像のクリックで拡大表示]

次ページ:旅で変えるべきと感じたものは…

会員向け記事を春の登録キャンペーンで開放中です。
会員登録(無料で、最新記事などメールでお届けします。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

いちばん美しい世界の絶景遺産(ナショナル ジオグラフィック)

世界の美しい場所は、ずっと見ていられる。唯一無二の美しい場所を手元においていつでも眺めよう。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕

定価:2,200円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加