195カ国を旅行した初の黒人女性がコロナ下で考えること

各国を訪問して学んだことや持続可能な旅へのヒントを、ジェシカ・ナボンゴ氏に聞いた

2021.05.09
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「優しさと明るいエネルギーを持って、恐れることなく旅してください」と話すジェシカ・ナボンゴ氏。写真は、ブータンを訪れた時に撮影したもの。(COURTESY JESSICA NABONGO)
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 始まりは、バリ島だった。2017年、2週間の休暇を取っていたジェシカ・ナボンゴ氏は、起業するために会社を辞めたばかりで、浮雲のような不安定な気持ちを抱いていた。そんなとき、最短ですべての国を訪問するギネス記録を樹立したキャシー・デ・ペコル氏の記事を読んだ。ナボンゴ氏は、自分は初の黒人女性として、デ・ペコル氏のように世界をくまなく旅してみようと決意した。

 ナボンゴ氏がこの計画を思いついたとき、彼女は既に59カ国を訪れていた。旅行好きの両親のおかげだ。米ミシガン州デトロイトに住んでいたナボンゴ氏は、ウガンダ出身の両親に連れられ、4歳の頃から様々な国を訪れた。旅の楽しみを教えられた小さな娘が、後にどんな偉業を成し遂げることになるのか、彼女の両親は知る由もなかっただろう。

 2019年10月6日、亡き父の誕生日に、ナボンゴ氏は最後の訪問地であるインド洋の島国セーシェルに降り立った。訪れた国は195の国と地域(国連加盟国193カ国に加え、バチカンとパレスチナ)。この経験を通してナボンゴ氏は、作家になり、写真家になり、全ての人に開かれた旅を擁護する活動家になった。旅の様子は、ブログとインスタグラムに記録されている。

――あなたの冒険心をかき立てるものは何ですか。

ナボンゴ氏:好奇心です。旅行に限らず、好奇心はいつでも私の心をかき立ててくれました。私の住む米国でもそうですが、世界中に住む人々の異なる生き方や似ている部分を見たいという強い思いがあります。私は、見知らぬ人でも信頼します。それに、一人ならどこへでも行けると思います。 (参考記事:「開発進む「ワクチンパスポート」につきまとう「深い懸念」」

――旅行中に出会った人のなかで、一番、印象に残っているのは誰ですか。

ナボンゴ氏:アルジェリアを案内してくれたザキさんというガイドです。旅が終わりに近づいたころ、現地では政府への抗議運動が盛んに行われていました。私たちは観光する予定でしたが、結局カフェで座っておしゃべりすることになってしまいました。そのとき彼が言ったことは、一生忘れられません。「私はただ、生きるために生きているだけです。ここでは、大きな夢を抱くことはできません。一家の長子であればなおさらです」。その言葉に、ハッとさせられました。生まれた場所が違うだけで、成功について考えることもできないほど彼にとっての選択肢は限られていたのです。

参考ギャラリー:いつか訪れたい旅先25 2021年版 再び旅立つ日を信じて (画像クリックでギャラリーページへ)
米国ニューメキシコ州(PHOTOGRAPH BY INGE JOHNSSON, ALAMY)

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