オランダ、ライデンの運河で発見されたパーチ(手袋の親指部分)。記録されているなかでは、魚が使い切りの手袋に閉じ込められ、命を落とした初めてのケースだ。(PHOTOGRAPH COURTESY OF AUKE-FLORIAN HIEMSTRA)
オランダ、ライデンの運河で発見されたパーチ(手袋の親指部分)。記録されているなかでは、魚が使い切りの手袋に閉じ込められ、命を落とした初めてのケースだ。(PHOTOGRAPH COURTESY OF AUKE-FLORIAN HIEMSTRA)
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 リーゼロッテ・ランボネット氏とアウケ・フロリアン・ヒームストラ氏は毎週日曜日、オランダの都市ライデンを流れる運河のごみを取り除くボランティア活動に参加しており、普通の人より多くのゴミを見てきた。

 2人は大学の博士課程で生態学の研究を行っており、都市のデトリタス(生物の遺体)に関する経験が豊富だ。それでも、2020年8月に遭遇した光景は思いがけないものだった。 (参考記事:「新たなプラ汚染問題 石そっくりのプラスチック」

 ポイ捨てされた、使い切りの医療用手袋の親指にパーチと呼ばれる小さな魚が入り込み、命を落としていたのだ。

 これは、記録された事例としては初めてのもので、ランボネット氏とヒームストラ氏はすぐ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけに使われ始めた手袋、マスクなどの個人用保護具(PPE: Personal Protective Equipment)によって野生生物が傷ついたり死んだりしたという報告をネットで探した。PPEの多くがプラスチックでつくられていることもあり、屋外に捨てられれば野生生物に大きな影響を与える可能性があるからだ。 (参考記事:「世界の漂着ごみ、食品包装用プラスチックが最多に」

 2人を含む研究チームはソーシャルメディアと新聞で見つけた45件の報告を分析し、21年3月22日付けで学術誌「Animal Biology」に発表。ライデンのナチュラリス生物多様性センターに所属するヒームストラ氏は「私たちを助けてくれる素材がほかの生物を傷つけている」と要約している。

 ライデン大学で研究を行うランボネット氏は「本当に衝撃的な出来事でした」と振り返る。「これは氷山の一角にすぎません」

 研究チームはマスクのゴムに引っ掛かったコマドリ、カモメ、ペンギン、さらにはハリネズミの報告を発見。動きが制限され、捕食の危険が高まる状況だ。また、オオバンなどの鳥はマスクや手袋、ポケットティッシュのパッケージを巣づくりに使っており、ヒナが飲み込んだり絡まったりする恐れがある。

 おそらく問題の全容はさらに深刻だとランボネット氏は語り、捨てられたPPEの影響を受けた野生動物に関するニュース記事や証拠写真を研究チームのウェブサイト「covidlitter」に投稿してほしいと呼び掛けている。

 カナダ、トロントを拠点に活動するフリーランスの生態学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるジャスティーン・アメンドリア氏は「私たちは今日の健康危機に対処するため、明日の環境危機をつくり出しています」と指摘する。アメンドリア氏もパンデミックに関連したごみの調査を行っている。「これらの製品がいったん環境に入ると、基本的にはそこでゲームオーバーです」

参考ギャラリー:プラスチックごみに翻弄される動物たち、写真10点(画像クリックでギャラリーページへ)
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ビニール袋のそばを泳ぐジンベエザメ。イエメンに面するアデン湾で撮影。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

次ページ:新型コロナとの関係。プラスチックの動画も

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