シャーリー・トロイマンさん(左)に、モデルナ社の新型コロナワクチンを接種するプリシラ・ポリカー看護師(中央)。2021年3月23日、カナダ、トロントのハンバーリバー病院にて。(PHOTOGRAPH BY COLE BURSTON, GETTY IMAGES)
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 新型コロナワクチンは、ウイルスの感染拡大を緩やかにし、パンデミックを収束させるチャンスをもたらした。専門家たちは今、ワクチンが感染の発生をどの程度抑えられるかを見極めようとしている。米疾病対策センター(CDC)の新たなデータでは、接種後も新型コロナに感染するケースはあるが、非常にまれであることが示された。

 CDCによると、4月14日までに米国でワクチン接種を完了した7500万人強のうち、5814人が新型コロナに感染した。そのうち45%は60歳以上だった。また、7%が入院、1%が死亡した。現在、米国で接種を完了した人は8800万人近くに上っている。

 CDCは、接種を完了した人々のための安全な行動の指針を慎重に緩和してきた。緩和に慎重だったのには理由がある。ワクチンがどれほど発症を予防するかだけでなく、接種を完了した人が無症状感染者になり、知らない間に他人にウイルスを感染させる可能性があるかどうかを見極めるデータを待っていたためだ。

 ワクチンは第一に、感染そのものではなく病気になること、すなわち発症を防ぐものだ。この区別は重要だが、多くの人はこの点を認識していない。つまり、どんなワクチンでも、接種を終えた人が他人にウイルスを感染させないようにできるとは限らない。

「ワクチン開発の究極の目標は感染そのものを阻止することですが、その達成はとてつもなく困難です」とカナダ、マニトバ大学のウイルス学助教授ジェイソン・キンドラチュク氏は話す。“殺菌免疫(sterilizing immunity)”と呼ばれるこの究極の目標は、疾病から完全に人を守るだけでなく、そもそも病原体の細胞内部への侵入を阻止することにあるという。

 米食品医薬品局(FDA)が最初の新型コロナワクチンを承認してから4カ月。CDCは、ワクチンが感染者数を大幅に減らし、結果として接種を受けた人が他人にウイルスを感染させるリスクを低下させることを示唆する十分なデータを得た。(参考記事:「コロナワクチンは何回打てばいいのか、毎年接種の可能性も」

ワクチンが人々を守る仕組み

 ワクチンは体内で感染を模した働きをして免疫システムをだまし、病原体に対する防御力を備えさせる。そして、次に同じ病原体を認識した時のための対策を記憶させる。そう説明するのは、米カリフォルニア大学リバーサイド校の微生物学助教授ジュリエット・モリソン氏だ。

 感染後は「体内の白血球、特にT細胞とB細胞が最初の感染を記憶しているので、再び感染すると、こうした細胞がたちまち増殖して対応します」。B細胞は抗体を作り出し、T細胞は感染した細胞を破壊する。

 ワクチンは感染時と同じこうした免疫記憶をもたらすので、本物のウイルスが現れた場合でも、免疫システムは即座に作動し、T細胞、B細胞、抗体を産生する。

次ページ:ウイルスの量が症状や感染力を左右する

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