マヤの首都に異なる文明の「飛び地」を発見、謎深まる

首都ティカルにテオティワカン式建物群、378年の敵対以前の友好関係を示唆

2021.04.21
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
グアテマラ北部に位置するマヤの古代都市ティカルの発掘調査により、メソアメリカの2大文明の関係について新たな知見が得られた。(PHOTOGRAPH BY SHUTTERSTOCK, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
[画像のクリックで拡大表示]

 起伏に富んだ景色の中で、それは肉眼でも地図上でも単なる丘にしか見えなかった。しかし考古学者らが、LiDAR(光による検知と測距)と呼ばれるレーザースキャン技術で撮影した航空写真を拡大してみると、何世紀も土や植生の下に隠れていた人工的な構造物の形がはっきりと見えた。グアテマラ北部の低地にある古代マヤの都市国家、ティカル遺跡でのことだ。

 ピラミッドだと判明したその建造物は、大きな中庭を囲むように小さな建物が並ぶ古代の居住地区の一部であることがわかった。だがこれらの建物は、それまでにティカルで発見された建物とは異なっていた。形や向きなどの特徴が、ティカルから西に約1300キロ離れた現在のメキシコシティの近くにあった別の大国、テオティワカンのものと同じだったのだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 調査をさらに進めると、その建物群はテオティワカンの巨大な広場「シタデル」を2分の1の大きさで再現したものであるように見えた。シタデルには、6層のピラミッド「羽毛のある蛇の神殿」がある。

「細部の類似性は驚くべきものでした」。こうした特徴に最初に気付いた米ブラウン大学の考古学者スティーブン・ヒューストン氏は語る。

 ティカルは、地球上で最も大規模な発掘調査が行われてきた遺跡の一つだ。そのティカルの中心部で、新たに主要な建造物が発見されたことは、LiDARが中米の考古学に大きな変革をもたらしていることを示す。鬱蒼(うっそう)とした中米の密林では通常、衛星画像が役に立たない。

 今回の発見はまた、興味深い疑問を提起してもいる。なぜマヤの首都の中心部に、遠く離れたテオティワカンの「飛び地」らしきものがあったのだろうか。(参考記事:「マヤ史上最大の遺跡を発見、浮かび上がる謎」

テオティワカンには「シタデル」と呼ばれるピラミッド群がある。ティカルを調査する考古学者たちは、その半分の大きさのレプリカと思われるものを発見した。(PHOTOGRAPH BY DEAGOSTINI, GETTY IMAGES)
[画像のクリックで拡大表示]

次ページ:異なる文化や言語が共存する国際都市

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

古代史マップ

世界を変えた帝国と文明の興亡

古代エジプト、共和制ローマ、漢などの世界を変えた強国から、カルタゴ、クレタ、オルメカなどの謎が残る文明まで、古代世界の勢力の変遷や時間の流れを視覚的に理解できる!

定価:1,540円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加