最古の霊長類の化石を発見、大量絶滅から10万年後

新種、「霊長類は恐竜と同時代を生きていた」説を後押し

2021.03.29
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新種として報告された初期霊長類の復元図。恐竜が絶滅した直後、この新種を含むごく初期の霊長類は、木になっている果物を食べる点で、ほかの哺乳類とは一線を画した。(ILLUSTRATION BY ANDREY ATUCHIN)
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 これまでで最古の霊長類の化石が発見された。2月24日付けで学術誌「Royal Society Open Science」に掲載された論文によると、調査した歯のいくつかは新種と判明、「プルガトリウス・マッキーベリ(Purgatorius mckeeveri)」と名付けられた。

 この動物は、現在の霊長類の先駆者となる小型の哺乳類で、今から6590万年前に生息していた。小惑星の衝突により、恐竜など地球上の生物の約4分の3が死滅した大量絶滅から、わずか10万年後のことだ。こうした初期の霊長類の仲間が、ゴリラ、チンパンジーなどの大型類人猿や、最終的にはヒトへとつながる最初のサルの系譜を生み出した。

「私たちの進化に対する見方を再編する発見です」と、論文の筆頭著者で初期の哺乳類を研究している米ワシントン大学の生物学教授グレゴリー・ウィルソン・マンティラ氏は語る。

 この発見は、霊長類の祖先が恐竜と共存し、大量絶滅を生き延びたとする説を補強する。今回、既知の別種の霊長類「プルガトリウス・ジャニサエ(Purgatorius janisae)」の歯も見つかっており、同じく6590万年前に生息していたことがわかった。この時代に2種の霊長類が存在していたとすれば、それらの祖先となる未知の動物がもっと前の時代に存在していたはずだ。

博物館の引き出しに眠っていた手がかり

 2003年、当時大学院生だったウィルソン・マンティラ氏は、米カリフォルニア大学古生物学博物館の収蔵品を調べていたとき、小瓶に入った歯の化石を取り出し、顕微鏡で観察してみた。歯は短く、先端がわずかに丸くなっており、氏が学位論文のために調べていたどの哺乳類のものでもなかった。

「まだ記載されていない新種に違いないと思いました」と、氏は振り返る。だが、他の論文や就職活動に追われ、本格的な研究ができないままになってしまった。

 今回の論文の共著者である古生物学者の故ウィリアム・クレメンス氏は、新たに報告されたプルガトリウスの歯を含む5万点の化石を発掘した人物だ。氏は小型哺乳類の進化を専門とする化石ハンターで、1970年代からずっと米国モンタナ州北東部のヘルクリーク累層を調べていた。ウィルソン・マンティラ氏は、2002年に引退したクレメンス氏の最後の学生だった。

 ヘルクリーク累層は、非鳥類型恐竜が絶滅した原因や、その後の生物の進化を理解するための重要な手がかりを与えてくれる。この場所の岩石には、大量絶滅の200万年前から約100万年後までの生命の歴史が刻まれているからだ。大量絶滅の前後両方の化石が見つかる場所は、世界でも数少ない。

 クレメンス氏は、小惑星の衝突が恐竜以外の動物にどのような影響を及ぼしたかを調べることで、6600万年前の出来事を解き明かしたいと考えていた。ウィルソン・マンティラ氏はクレメンス氏について、「彼は、この生命史のターニングポイントを調べるために、膨大な化石ライブラリーを構築したのです」と語る。そして、そのライブラリーの中に、人類へとつながる進化をひも解く重要な手がかりがあった。

次ページ:霊長類の系譜をたどる

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