アイスランドの火山が800年ぶりに噴火、そのとき何が?

火山学者らが噴火の瞬間を目撃していた、地震急増で警戒中

2021.03.24
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2021年3月19日金曜日、アイスランドのレイキャネス半島で溶岩の噴出が始まった。この地域の火山が新たな活動期に入ったのではないかと、専門家は考えている。(PHOTOGRAPH BY JEREMIE RICHARD, AFP VIA GETTY IMAGES)
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 3月19日現地時間午後8時45分ごろ、アイスランドの南西部に位置するレイキャネス半島で火山が噴火した。噴火に至るまで15カ月もの間、周辺地域では生活に影響が出るほどの群発地震が発生し、過去3週間だけでも約5万回以上の揺れを観測していた。(参考記事:「100年続く噴火の前兆か、アイスランドで群発地震」

 レイキャネス半島で噴火が起こるのは800年ぶりだ。ファグラダルスフィヤル火山のすぐそばの谷に開いた割れ目から、高熱でオレンジ色に輝く溶岩がどくどくと流れ出し、黒く焼け焦げた大地を明るく輝かせた。

 しかし、溶岩の量は比較的少なく、周辺の谷に封じ込められてそれ以上広がりを見せていないため、人口密集地への影響はないとされている。噴火口は、最寄りの町から約10キロ離れている。

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 この種の溶岩は流動性が高く、内部にガスがたまりにくい。また、水中や氷河の中で噴火したときのように、特別激しい爆発を起こしたり、長期間噴煙が続いたり、巨大な火山岩を周囲にまき散らす心配はなさそうだ。科学者たちは、数日から数週間噴火が続いた後、落ち着くだろうと予測している。

 だが、今回の小規模な噴火はより大きな噴火への序章という見方もある。過去の史料や古代の溶岩流の跡から、この地域で地震活動が活発化すると、その後約100年間断続的に噴火が続くことが示されている。

 群発地震が激しくなって以降、火山学者たちは警戒を強めていた。800年ぶりの噴火の前後には、いったい何が起きていたのだろうか。

3月3日に予兆を検出後、いったん沈静化

 アイスランドは、2枚の地殻プレートが互いに離れていく大西洋中央海嶺の上にある。海嶺の大部分は海の底だが、首都レイキャビクから南西へ約27キロ離れたレイキャネス半島では、この海嶺が海から顔を出し、陸地になっている。そのためここは元々地震が多いうえ、2019年以降はその数が急増し、揺れも激しくなっていた。とりわけ沿岸の町グリンダビークでは、夜も眠れないほどの揺れが続いていた。

 専門家は、これまでゆっくりだった半島の裂け方が速まり始めているのではないかと考えている。このように急に割れ目が広がると、そこにマグマが流れ込みやすい。

 2021年3月3日、はるか昔に噴火した一連の亀裂とファグラダルスフィヤル山の間から、浅い地殻にマグマが貫入していることを示す音響シグナルが検出された。噴火は間近かと思われたものの、その後何も起こらず、音響シグナルも聞こえなくなった。

 だがそれから数週間、地下ではマグマが出口を求めてさまよっていた。

次ページ:再びとらえた予兆、そして注意を喚起

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