太陽系の歴史を残す「始原的な隕石」、英国に落下

地球の水や生命の起源を解明する手がかりになるか

2021.03.17
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英国ウィンチカムの民家の私道で発見された隕石。炭素質コンドライトという古いタイプの希少な隕石で、その組成は太陽系の初期の歴史を解明するのに役立つことが期待されている。 (PHOTOGRAPH FROM TRUSTEES OF THE NATURAL HISTORY MUSEUM, LONDON)
英国ウィンチカムの民家の私道で発見された隕石。炭素質コンドライトという古いタイプの希少な隕石で、その組成は太陽系の初期の歴史を解明するのに役立つことが期待されている。 (PHOTOGRAPH FROM TRUSTEES OF THE NATURAL HISTORY MUSEUM, LONDON)
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 2021年2月28日の夜、英国南西部グロスターシャーの上空で、崩壊しながら落下する火球の姿が6秒にわたってとらえられた。研究者らは火球の行方を追跡して隕石を発見、その組成を分析したところ、太陽系の秘密を隠しているかもしれない「始原的な隕石」であることがわかった。

 英国では隕石が見つかること自体、レアだ。地球には、ひっきりなしに隕石が衝突しているが、そのほとんどは火球として見えるほど大きくない。火球になるほど大きい隕石であっても、その多くは海に落ちる。(参考記事:「宝くじより高い? 隕石に当たって死亡する確率」

 近年、英国の隕石ハンターたちは火球を監視するためのカメラを設置し、撮影された飛跡から隕石の落下する場所を推定することで、発見の確率を高めている。アマチュアとプロの隕石研究者が運営するこうしたカメラネットワークを統合しているのが、英国火球同盟(U.K. Fireball Alliance)だ。

 グループの主催者であるジム・ロウ氏によると、これらのカメラは常時、空に向けられていて、特筆すべき閃光や空飛ぶ物体がないか探しているという。英国火球同盟のシステムはこの5年間に何度か火球をとらえているが、いずれも回収には不向きな場所に落下していた。数年前に「英国とノルウェーの間の北海にまっすぐ飛び込んだ火球がありました」と、英グラスゴー大学の隕石の専門家であるルーク・デイリー氏は言う。これでは回収のしようがない。

ウィンチカムの隕石

 2月28日の火球は違った。国際的な研究チームが英国火球同盟と協力してただちに飛跡を分析し、隕石が落下した可能性が高い地域を特定すると、英国各地の隕石の専門家がウィンチカムの町とその周辺地域に集まって隕石を探しはじめた。

 3月2日の火曜日、科学者たちは地元の新聞に協力を求め、ふつうとは違う見た目の岩石の破片を見つけてほしいと市民に呼びかけた。すると、彼らのもとにグロスターシャー中から隕石の破片と思われる写真が送られてきた。

 ある家族は月曜日の朝に、自宅の私道に黒い岩石の破片が落ちていて、周囲にススのようなものが飛び散っているのを見つけていた。火球についての報道を知った一家は、これは隕石の破片ではないかと思い、英国流星観測ネットワーク(U.K. Meteor Observation Network)に連絡した。英マンチェスター大学の隕石の専門家であるキャサリン・ジョイ氏は、隕石の重要性に気づいて科学者に連絡してくれたこの一家に深く感謝している。

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