6200年前の大量虐殺、犠牲者38人のDNAを分析、深まる謎

集団処刑か? 多くは血縁関係になく、犯人や動機は謎のまま、クロアチア

2021.03.13
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クロアチアのポトチャニで見つかった古代の大量虐殺の犠牲者。数人は、頭蓋骨に複数の致命傷を負っていた。(PHOTOGRAPH BY M. NOVAK)(COURTESY OF THE INSTITUTE FOR ANTHROPOLOGICAL RESEARCH)
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 約6200年前、現在のクロアチア東部にあたる場所で41人以上の男女と子どが虐殺され、大きな墓穴に投げ込まれた。2007年にこの墓を発見した考古学者たちは当初、血縁関係にあるコミュニティの全員が処刑されたのだろうと考えた。

 しかし、3月10日付けで学術誌「PLOS ONE」で発表された新たな分析結果によれば、ほとんどの犠牲者たちには血縁関係がなかったことが明らかになった。この分析では、古代の大量虐殺の調査としてはかつてない規模の遺伝子研究が行われた。

 この意外な発見からは、さらなる疑問が浮かび上がる。最も重要なのは、なぜ犠牲者たちが殺されたのか、そして、誰が殺したのか、という点だ。

「それは最大の難問です」と論文の筆頭著者マリオ・ノバク氏は話す。氏はクロアチアのザグレブにある人類学研究所の考古学者だ。「正直なところ、私たちにはよくわかりません」と言うノバク氏は、何か明確な考古学上の証拠が近くで発見されない限り、「これからも解明できないでしょう」とつけ加えた。(参考記事:「欧州の謎の変形頭蓋骨、「民族の目印」だった?」

車庫の下に墓が

 この古代の集団墓地はクロアチアのポトチャニ村にあり、車庫の建設中に偶然、発見された。直径約2メートル、深さ約1メートルの墓穴には、少なくとも41人分の骨の残骸があった。まだ関節でつながっている骨もあれば、ばらばらになっている骨もあった。

 当時、たまたまその地域にいたザグレブ大学の考古学チームの学者たちが現場に呼ばれた。考古学者たちは、これらの遺骨は現代の戦争の犠牲者で、おそらく第二次世界大戦か1990年代のユーゴスラビア紛争の犠牲者だろうと考えた。だが、最初の調査で銃弾も軍服も見つからず、歯には現代の歯科治療による詰め物もないことがわかった。

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