アイスランドのレイキャネス半島にあるセルトゥン地熱地帯は、温泉が湧き、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が発生する場所だ。同半島では最近、地震が多発しており、地質学者たちは火山噴火が起こるのだろうかと考えている。(PHOTOGRAPH BY ARTERRA PICTURE LIBRARY, ALAMY STOCK PHOTO)
アイスランドのレイキャネス半島にあるセルトゥン地熱地帯は、温泉が湧き、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が発生する場所だ。同半島では最近、地震が多発しており、地質学者たちは火山噴火が起こるのだろうかと考えている。(PHOTOGRAPH BY ARTERRA PICTURE LIBRARY, ALAMY STOCK PHOTO)
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 3月3日、アイスランドの首都レイキャビクの南西27キロに位置するレイキャネス半島の地震計が、地中のマグマの動きを示す音響シグナルを検出した。付近の地面が変形しており、溶岩の移動が確認された。

 火山学者や行政当局は、噴火が近づいているのではないかと疑い始める。アイスランド気象局のクリスティン・ヨウンスドッティル氏は同日、「この動きは噴火が近づいていることを示しているように思われます」と地元メディアに語った。地表の下を流れるマグマの動きは、数時間以内にも噴火が起こる可能性があると示唆していた。

 アイスランドの他の火山であれば、こうしたシグナルは溶岩の噴出の前触れだと英ランカスター大学の火山学者デイブ・マクガービー氏は言う。最もありそうなシナリオはこうだった。人口密集地を危険にさらすことはなく、上空を飛ぶ飛行機を脅かすこともないが、溶岩が華々しく噴出して川のように流れるだろう。

 だが、噴火は起こらなかった。

「全く新しいことです。予想していませんでした」と氏は話す。「いつだって予想外のことはあります。何もかも予測することはできません」

 本記事の執筆時点で、マグマの活動を示す揺れは収まっている。再発するかもしれないし、しないかもしれない。レイキャネスの火山系は今、驚くような動きを見せており、噴火が今後数日または数週間以内に起こりそうかどうかを予想することはできない。「一体この場所で何が起こっているのか、人々は疑問に思い始めました」とマクガービー氏は言う。

 この地域の過去の火山活動サイクルからすると、こうした地殻活動の乱れは、100年続く噴火の序章である可能性がある。そうだとすると、レイキャネス半島では人間の一生ほどの間に噴火を1000回繰り返すかもしれない。

「様子を見るほかありません」と、アイスランド気象局の火山学者ベルグルン・アルトナ・オウラドッティル氏は言う。「最悪の事態に備えつつ、最善を期待するのです」

 この不確実な状況は実にストレスが多そうに聞こえるかもしれないが、アイスランドの人々にとってこうした地質学的な活動過多は当たり前のことだ。非営利の国有地質調査会社「アイスランド・ジオサーベイ」の地震学者ソルビョルグ・アウグスツドッティル氏は、「火山活動が非常に活発な国に住むということは、そういうことなのです」と話す。(参考記事:「絶景の国アイスランド、宝石のようなドライブルートが開通」

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