コロナで再燃、ローラースケートの意外と長い300年の歴史

最初のブームは19世紀後半、革命的なあるモデルが火付け役に

2021.02.02
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1880年代、全米の都市や町でローラースケートが大流行していた頃。ローラースケート場の広告には、あらゆる年齢層の人々が4輪のスケートを履いて楽しむ様子が描かれていた。(BRIDGEMAN)
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 2020年、新型コロナウイルス感染症が大流行する中で、隔離期間中も安全に楽しめる娯楽として、米国でローラースケートの人気が大きく復活した。ローラースケートと言えば20世紀のもののように思えるかもしれないが、車輪付きの靴が最初に登場したのは1700年代だ。デザインの変更と改善が繰り返され、欧州および米国では19世紀を通じてスケートが流行していた。

 ローラースケートの前身であるアイススケートの歴史は遥かに古く、紀元前1800年までさかのぼる。スカンジナビアの人々が動物の骨からアイススケートを作っていた考古学的証拠があり、人力の移動手段の先駆けだった。

アイススケートをヒントにインライン型が登場

 靴に車輪を取り付けようとした最初期の記録のひとつは1700年代はじめのものだ。無名のオランダ人が、木製の糸巻きをあしらった木片を靴に縛り付けた。「スキーラーズ(Skeelers)」として知られるものだが、これはすぐに壊れてしまった。

 もう一つ、初期の有名な試みが、奇抜なベルギー人発明家ジョン・ジョセフ・マーリンによるものだ。彼の場合は、木製の靴底に金属製の車輪をアイススケートの刃のように一列に取り付けた。1760年に行われた仮面舞踏会で、マーリンはバイオリンを弾きながらローラースケートで滑ろうとしたと言われる。しかし、速度や方向をコントロールできず、大きな鏡に衝突。鏡は粉々になり、バイオリンは壊れ、彼自身も負傷した。

 もう一人、1790年頃にローラースケートの発明に挑戦したベルギー人がいた。パリに住んでいたマキシミリアン・ローデワイク・ファン・レーデだ。彼は鉄の底板に木製の車輪を取り付け、「陸上のスケート(patin à terre)」と名付けたが、あまり注目されることはなかった。と言うのも彼がフランス革命の最中にパリを脱出し、発明品を残して行かざるを得なかったからかもしれない。

三輪車にヒントを得て、1882年に英国人J.F.ウォルターズが発明した3輪型のスケート。流行することはなかった。(WHA/AURIMAGES)
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 世界で初めてローラースケートの特許を取得した人物は、フランスの発明家シャルル・ルイ・マリ・プティブレだ。3つの車輪が一列に取り付けられた木製の靴底を、ストラップで固定する形式だった。

 その4年後、ロバート・ジョン・タイアーズが英国初となるローラースケートの特許を取得した。彼のスケート「ボリート(Volito、ラテン語で「飛び回る」の意)」には5つの車輪が付いており、体重を前後に移動させて操縦できるよう、中央の車輪が少しだけ大きくなっていた。1828年には、フランス人のジャン・ギャルサンが、3輪のスケートを作る際に同じ方法を採用する。これらの初期のスケートはデザインの改良がなされていたとは言え、決して操縦しやすいとは言えず、まっすぐに進むかせいぜい緩いカーブを描くぐらいしかできなかった。

次ページ:革命だった4輪タイプ、クワッドスケートの誕生

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