スピノサウルスの狩りは鳥のサギのようだった、新説

「水中の捕食者」説に異論、新たな化石を再評価した論文

2021.01.30
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スピノサウルスは積極的に泳ぐ「川のモンスター」だったのか? 科学界で長く続く議論に一石を投じる研究が「Palaeontologia Electronica」に発表された。この論文によれば、スピノサウルスはサギのように水辺を歩く捕食者だったという。(ILLUSTRATION BY ROBERT NICHOLLS)
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 太古の昔に現在のアフリカ北部の河川に生息していたスピノサウルスは、いったいどのように暮らし、狩りをしていたのか。9500万年以上前のこの大型の肉食恐竜について、科学界では長年にわたり議論が続いている。

 ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー、ニザール・イブラヒム氏率いる研究チームは2020年、スピノサウルスは泳いで獲物を追い掛ける「川のモンスター」だったと主張した。スピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)は体長約15メートルのうろこに覆われた獣脚類で、背中に高さ2メートル弱の帆のような突起を持つ。

 しかし、1月26日付けでオンラインジャーナル「Palaeontologia Electronica」に発表された論文では、スピノサウルス科の世界的な専門家2人が別のモデルを提示した。

 2人は解剖学的な証拠を調査し、その結果として、スピノサウルスは現代のコウノトリやサギのように、水辺で獲物を待ち、水に頭を突っ込んで捕食していたという異なる見解を示している。

 スピノサウルスに水陸両方とのつながりがあったことはまず間違いない。歯の化石の化学的特徴から顎の構造まで、スピノサウルスは魚をはじめとする水辺の生き物をよく食べていたという証拠が残されている。同時に、スピノサウルス科は陸生の恐竜、さらには翼竜まで食べていたと示唆する化石記録もある。さらに、生まれる前の恐竜は卵が水没すると溺れてしまうため、少なくとも、産卵は陸上で行っていたことになる。

スピノサウルスにそっくりな現生動物はいないが、現代のクラハシコウ(Ephippiorhynchus senegalensis)のように浅瀬を歩いていたと考える科学者もいる。写真はタンザニアで撮影したクラハシコウ。(PHOTOGRAPH BY RICHARD J. GREEN, SCIENCE SOURCE)
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 しかし、新しい論文が発表されたことで、スピノサウルスは水陸それぞれでどれくらい過ごしていたのかや、水中でどのように移動し、狩りをしていたかについて、専門家の意見はまだ分かれていることが明確になった。

 論文の著者の一人である米メリーランド大学カレッジパーク校の古生物学者トム・ホルツ氏はナショナル ジオグラフィックのメール取材に対し、スピノサウルスは魚を食べる種も含めた仲間の中で最も水に近い恐竜であるという考えには同意すると述べている。「ただし、半水生の生物と水生生物には明確な境界線があるわけではありません」

「私たちの解釈では、スピノサウルスはホッキョクグマより泳ぎが上手だったかもしれませんが、おそらくアシカほどではありません」

 一方のイブラヒム氏はナショナル ジオグラフィックのメール取材に対し、この新しい仮説を歓迎しながら、スピノサウルスが泳ぎながら狩りをするのに魚のような敏しょう性は必ずしも必要なく、そのように解釈しているわけでもないと念を押した。

次ページ:新たな解釈、続々と発表

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