新政権誕生、米国と世界が直面する気候変動「5つの数字」

早々にパリ協定への復帰示す米国、待ったなしの問題にどう取り組む

2021.01.21
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2020年11月16日、デラウェア州ウィルミントンのクイーンシアターで講演するジョー・バイデン大統領と、それを見守るカマラ・ハリス副大統領。(PHOTOGRAPH BY RUTH FREMSON, THE NEW YORK TIMES/REDUX)
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 欧州連合の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービスによると、2020年は、2016年と並んで観測史上最も暑い年となった。この数字は、明らかに地球の環境が変化していることを示している。

 だが、これは意外な結果ではない。昨年、化石燃料の燃焼による二酸化炭素排出量は、新型コロナウイルス感染症による世界的な経済不況で7%減少したものの、全体で約400億トンもの二酸化炭素が排出された。19世紀からの累積排出量は数兆トンに上り、世界の平均気温は上昇を続けている。

 ジョー・バイデン米国大統領は、原油輸送用のキーストーンXLパイプラインの認可を取り消し、米国の排出量を削減する大胆な計画を採択すると公約していた。就任初日の20日にパリ協定へ復帰する大統領令に署名し、米国の気候変動政策は今、新たな幕を開けようとしている。そこで、米国を含め世界が現在直面している問題を5つの数字とともに挙げてみた。(参考記事:「米大統領選 トランプ氏とバイデン氏、環境問題への姿勢は?」

1.25℃:産業革命以降上昇した地球の平均気温

 コペルニクス気候変動サービスによると、2020年の世界の平均気温は、1800年代後半と比較して1.25℃高かった。この他、米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気局(NOAA)、英国気象庁などは、1.29℃まで上昇したと推測している。

 2020年が2016年と同じくらい暑かったという事実には、見過ごせない背景がある。2016年は、地球の気温を一時的に数℃上昇させることで知られるエルニーニョ現象がとりわけ活発だった年だ。2020年は、後半になって穏やかなラニーニャ現象(エルニーニョの反対で、地球の気温をわずかに下げる)が発生したが、それでも大量の炭素排出による温室効果を相殺するには至らなかった。

「強力なエルニーニョに相当する暑さが、2016年以降、加わってしまったということです」。米ブレークスルー研究所の気候科学者で、カリフォルニア州の研究機関バークレー・アースによる世界の年間気温調査にも関わっていたジーク・ハウスファザー氏は言う。

 2015年の採択以来、世界のほぼすべての国が、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑え、さらにできる限り1.5℃未満を目指すとするパリ協定を批准した。現在は10年間で0.2℃ずつ上昇しており、このままでは数十年以内に毎年のように目標数値を上回ってしまうことになるのは目に見えている。

次ページ:北極の氷がなくなる夏が来る

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