東欧原産のヨーロッパオオナマズ。成長すると体長3メートルにもなる。 (PHOTOGRAPH BY STEPHANE GRANZOTTO / NPL / MINDEN PICTURES)
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 フレデリック・サントゥール氏が、ヨーロッパ最大の淡水魚の貪欲な食性を初めて目にしたのは、南フランスの町アルビにある中世の橋の上でのことだった。

 眼下を流れるタルン川に浮かぶ小さな島を、ハトが歩き回っていた。ハトは、砂利に覆われた川岸近くを泳ぐ巨大なナマズの群れには気づいていないようだった。突然、1匹のナマズが水から飛び出し、陸に乗り上げてハトを捕まえた。ハトの羽が舞い散った。ナマズは口にハトをくわえ、のたうちながら川に戻って行った。

タルン川に浮かぶ小島の周りを泳ぐヨーロッパオオナマズ。油断しているハトを捕らえようとしている。 (PHOTOGRAPH BY REMI MASSON / NPL / MINDEN PICTURES)
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「シャチが浜辺に乗り上げてアザラシを捕まえることは知っていましたが、魚がこうした行動をとるのは見たことがありませんでした」と、フランスのトゥールーズ大学の魚類生態学者であるサントゥール氏は話す。

 今からおよそ10年前の当時、西欧では、このヨーロッパオオナマズ(Silurus glanis)についてはほとんど知られていなかった。ヨーロッパオオナマズは、1970年代に釣り人が西欧に持ち込んだ魚だ。原産地は東欧で、成長すると体長3メートル、体重270キロにもなる。その後、西欧と南欧の全域で少なくとも10カ国に広がった。

 ヨーロッパオオナマズは、原産国では食用に漁獲されたり養殖されたりしていて、問題のある種だとは考えられていない。本来の生息地では、個体数が何十年も比較的安定していたようで、他の在来魚を過度に捕食するという証拠はほとんどない。

 だが、新たに住み着いた川で彼らが標的にしているのは、ヨーロッパでの生息数の減少がすでに深刻なアリスシャッド(ニシンの仲間)やタイセイヨウサケなど、絶滅が危ぶまれ、商業的にも重要な通し回遊魚(海と川を往き来する魚)だ、とサントゥール氏は言う。

 同氏は、ヨーロッパオオナマズが多くの西欧在来の魚を一掃し、ただでさえダムや水質汚染、乱獲の影響に苦しむ河川の生態系を根本的に変えてしまう可能性を懸念している。

「こうした要因の影響が蓄積していくと、今後10年で現在の魚の個体群を崩壊させる恐れがあります」と同氏は警告する。

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