カリブ最初の民はほぼ絶滅していた、南米から侵入者

最新研究、174人分のDNAから古代カリブの歴史が明らかに

2020.12.26
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カリブの交易商人たちがバハマ諸島に近づく。スペイン人が到来する以前、こうした古代の交流システムが島々を結んでいた。(PAINTING BY MERALD CLARK, STONE INTERCHANGES IN THE BAHAMA ARCHIPELAGO)

 700以上の島々が点在するカリブ海。人類は、いつからどのようにしてこの島々に住むようになったのか。考古学者たちは長年にわたり、大胆な航海者たちの起源と移動ルートを解明しようと苦心してきた。そして今、古代人のDNAから、島々の秘められた歴史が明らかになりつつある。

 驚くべき発見のひとつは、スペイン人の侵略が始まる1492年より1000年以上前に、南米からの新参者たちがカリブ諸島の先住民をほぼ絶滅させていたかもしれないということだ。さらに、スペイン人が到来した時代の島民も数は、これまでの推定よりかなり少なかった可能性も浮かび上がった。

 数年前までは、カリブ諸島のような温暖で湿度が高い地域の骨からDNAを抽出することは不可能だった。だが、遺伝子解析技術の進歩のおかげで、米ハーバード大学の遺伝学者デビッド・ライク氏の研究室では、ベネズエラからバハマ諸島にかけて各地で発掘した174体からDNAを抽出することに成功した。

 その成果が、12月23日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。7月にはデンマークのコペンハーゲン大学の研究室が、93体のカリブ諸島の古代人のゲノム分析に関する論文を学術誌「サイエンス」に発表しており、今回の発表はこれに続くものだ。この「サイエンス」誌の論文の共同著者で、ドイツ、マックス・プランク人類史科学研究所の所長であるヨハネス・クラウス氏は、今回の快挙を受けて「カリブ海諸島の古代の移住の歴史を、詳細に知ることができるようになります」と語っている。

2500年ほど前、製陶術を持つ南米の農耕の民が初めてカリブ海諸島に移住し、すでに定住していた狩猟採集民に取って代わった。新しい移住者の子孫が西暦1400年頃に製作した土器。(PHOTOGRAPH BY KRISTEN GRACE, FLORIDA MUSEUM)

 どちらの論文でも確認されているのは、およそ2500年前に、製陶術を持つ農耕の民(セラミック時代の人々)が南米の北東沿岸を出航し、カリブ海の島々を移動し始めたことだ。しかし、彼らは島の最初の入植者ではなく、多くの島で狩猟採集民と遭遇した。先に定住していたのは、およそ7000年前から6000年前に中米や南米北部の沿岸からやってきた人々だった。

 この先住の狩猟採集民(古期の人類)は、新たな入植者が到来してまもなく、ほぼ全滅したとみられている。セラミック時代の人骨には古期の人間の遺伝子特性がわずかだったことから、この2つの集団が交わる機会はまれだったことが推察される。セラミック時代の人々は、現代のアラワク語を話す人々とつながりがある。新たに入植した彼らは、先に定住していた狩猟採集民に取って代わった。狩猟採集民は、病気や戦いによって滅びたと推測されている。

 しかし、この異なる2つの集団間の交流については、複雑な歴史をうかがわせる興味深い例外も見つかっている。

「驚いたことに、古期の生活様式が、西暦900年頃までキューバ西部に残っていたのです」と、米フロリダ自然史博物館の考古学者で、「ネイチャー」論文の共同著者であるウィリアム・キーガン氏は話している。「彼らは他の集団とほとんど交わることなく、ひっそりと生活していたようです」

セラミック時代の人々は、古期の狩猟採集民族が使用していた物と類似した石器も作製し使用していた。(PHOTOGRAPH BY KRISTEN GRACE, FLORIDA MUSEUM)
セラミック時代の人々が使っていた石器。(PHOTOGRAPH BY KRISTEN GRACE, FLORIDA MUSEUM)

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