2週間の隔離は本当に必要? 短縮に向け新たな研究成果

新型コロナ、長期隔離の負担を軽減、接触者追跡にも効果か

2020.12.25
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ジン氏が搭乗した便の客室乗務員。頭から足先まで、個人用防護具で全身を包み、自分と乗客への感染を防ぐ。また、こうすることで乗務員は到着後の隔離を免除される。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN JIN)
ジン氏が搭乗した便の客室乗務員。頭から足先まで、個人用防護具で全身を包み、自分と乗客への感染を防ぐ。また、こうすることで乗務員は到着後の隔離を免除される。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN JIN)

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、ほとんどの国が濃厚接触者や外国からの入国者に14日間の隔離を求めている。しかし、本当に2週間の隔離が必要なのか。最近の研究で、安全を確保したまま隔離期間を短くする方法がいくつか提案されている。

 中国出身でベルギー在住の写真家ジャスティン・ジン氏は11月下旬、父親が中国の自宅で病に倒れたと聞き、すぐ帰国の途についた。しかしパンデミックは、通常なら簡単な移動を、2週間を超える試練に変えた。

 ジン氏は中国に到着すると、上海のホテルに隔離された。部屋のドアはカメラで監視され、廊下は新しい到着者が通るたびに消毒された。食事はドアに届けられ、トイレを洗い流す前にトイレを殺菌するためのバケツと消毒剤を与えられた。「自分がUFOに誘拐された標本のように感じました」とジン氏は言う。

12時間のフライト中、防護服で身を包んだ乗客たち。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN JIN)
12時間のフライト中、防護服で身を包んだ乗客たち。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN JIN)
ギャラリー:上海コロナ隔離生活レポート 写真15点(画像クリックでギャラリーへ)
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中国、上海のホテルで、写真家のジャスティン・ジン氏の部屋に検温の結果を聞きに来た医師。ベルギー在住のジン氏は、病に倒れた父親に会うため中国に帰国し、ホテルで14日間隔離していた。医師は1日に2回、部屋のドア越しに宿泊客の体温を聞いて回る。写真は、ドアののぞき穴を通してジン氏が撮影した。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN JIN)

 2週間にわたる隔離は、当人の経済的・精神的負担が大きいうえ、政府や企業もそのために莫大な資源を費やさなければならない。隔離期間を短縮できれば負担が軽減され、隔離への人々の抵抗も少なくなることが期待される。

 隔離期間の短縮を提案する専門家はその根拠として、コロナウイルスは概ね感染後9~10日には感染力を失うという研究結果を挙げている。また、最新の研究によると、検査戦略の改善と隔離期間の短縮を合わせることで、単に14日間隔離するよりも感染拡大を防ぐ効果があることも示されている。

 こうした研究を踏まえ、米国疾病対策センター(CDC)は12月2日、隔離戦略として2つの新たな選択肢を発表した。CDCとしては可能であれば14日間の隔離を推奨するが、一方で、ウイルスに暴露したと思われる日から5日目以降の検査で陰性が出れば、1週間で自主隔離を終えてもいい。もし検査が受けられない場合、10日間症状が出なければ隔離を終了できるというものだ。

短い隔離期間と隔離終了時の検査

 数理モデルを用いて、検査戦略と隔離期間の短縮によって隔離の負担を減らせることを示したのは、生物学者のジェフ・タウンゼンド氏が率いる米エール公衆衛生大学院の研究チームだ。

 隔離戦略が成功するのは、陽性者の感染力が最も高いときに隔離に入った場合に限る。しかし、コロナウイルスの潜伏期間に関する最新のデータによれば、ウイルス量や発症のピークが、必ずしも感染力のピークと一致するわけではないらしい。

次ページ:7日間隔離と再検査によって98%予防

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