ワニが尾を再生、初の発見、脚や尾を再生できる動物で最大

アメリカアリゲーターが最長で23センチ再生、ヒトの研究に役立つ可能性も

2020.12.23
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アメリカアリゲーターの子どもは鳥やアライグマ、他のアリゲーターに狙われやすいが、移動に欠かせない尾を一部再生できることが新たな研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY KEITH LADZINSKI)
アメリカアリゲーターの子どもは鳥やアライグマ、他のアリゲーターに狙われやすいが、移動に欠かせない尾を一部再生できることが新たな研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY KEITH LADZINSKI)
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 2017年10月、米アリゾナ州立大学の生物学教授であるケンロウ・クスミ氏の研究室に、ある荷物が届けられた。クスミ氏が箱を開けると、変形したワニの尾がエタノール漬けになって瓶に入っていた。

 トカゲの尾を再生する能力などを研究しているクスミ氏は、そうした類の尾は飽きるほど見ている。だが、この届け物はそれにしても奇妙だった。変色し、先端がわずかに割れていて、うろこが異常に小さかった。

 送り主は米ルイジアナ州野生生物漁業局。野生の若いアメリカアリゲーター(Alligator mississippiensis)から採取したものだという。(参考記事:「動物大図鑑:アメリカアリゲーター」

 早速尾を分析したクスミ氏と研究チームは、このワニの尾が再生したものであるという結論に達した。研究チームがさらに3匹のアリゲーターの尾を調べた結果、若いアリゲーターが最大23センチまで尾を再生できることを発見した。この研究は、11月18日付けで科学誌「Scientific Reports」に発表された。

「興奮しました。きっと何か面白いものがあるに違いないと思っていましたから」と、論文を共同で執筆した生物学者のジアン・ウィルソン・ラウルス氏は語る。

 ヤモリやイグアナなど、尾を再生できる爬虫類は多い。だが、体の大きなアリゲーターにもその能力があるとは、それまで報告されていなかった。アメリカアリゲーターは全長4メートルに達し、尾を使ってバランスをとったり、泳いだりする。

 この発見により、アリゲーターは脚や尾などの付属器官を再生できる動物としては、知られている限り最大となった。この能力がどのように進化したのか、またどのように機能するのかを理解するうえで重要な研究対象となりそうだ。人間の再生医療の研究に貢献できる可能性もある。

サラマンダー、トカゲ、ワニ、カエル、マウス

 すべての動物には、ある程度のけがであれば再生して修復する能力が備わっているが、その程度は種によって異なる。例えば哺乳類は、わずかな量の皮膚、血管、小さな神経を再生できても、四肢までは再生できない。対して、メキシコサラマンダー(ウーパールーパー)などは、骨や臓器の組織だけでなく、四肢もほぼ元通りに再生できる。

 トカゲが尻尾を自ら切るように、爬虫類の一部の種は、尾を切り離して敵から逃げる。その後、新しい尾が生えてくるとはいえ、完全に元通りに再生できるとは限らない。

次ページ:再生能力はトカゲと哺乳類の中間ぐらい

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