超巨大氷山がペンギンやアザラシの島に大接近、影響は?

氷山の全長は約150km、最大幅約50km、英領サウスジョージア島まで約45km

2020.12.21
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南極の氷山A68(左)がサウスジョージア島(右)に迫る様子を示す12月14日の衛星画像。サウスジョージア島は南大西洋の海洋保護区で、ゾウアザラシ、オウサマペンギン、シロナガスクジラなどの絶滅危惧種が生息している。氷山が島の野生生物にどのような影響を与えるのか、科学者たちは注意深く観察している。(PHOTOGRAPH BY NASA)
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 ペンギン、アザラシ、そして絶滅の危機にあるシロナガスクジラの小さな群れが生息する南極地方の野生生物保護区に、最大級の氷山が接近している。

 A68と呼ばれるその氷山は、2017年に南極半島の東海岸にあるラーセンC棚氷から分離してできた。以来、ゆっくりと北に向かっていたが、今年に入って海流にのり、速度を増して南大西洋を進んでいる。

 長さ約150km、最大幅約50kmにもなるA68氷山の面積は約4000平方キロメートル(滋賀県の面積にほぼ相当)に及び、水中部分は150〜180mもある。衛星画像を見ると、人差し指で何かを指差しているような形をしている。

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 この氷山は2020年12月現在、南大西洋に浮かぶ英領サウスジョージア島から約45kmのところにあり、科学者たちは数日中に島のまわりの浅い海域で引っかかって止まるか、通り過ぎていくと予想している。氷山の動きが止まった場合、どのくらいの期間、そのままの状態でその場にとどまるかは不明だ。

「今後、氷山が北上する可能性は常にありますが、一定期間その場所にとどまる可能性もあります」と、米国立アイスセンターの南極主任アナリストであるクリス・レディンガー氏は言う。「最も確率が高いのは、島の南の海域を流れていくことです」

 レディンガー氏によると、最近の衛星画像は氷山が分裂しはじめていることを示しており、科学者たちは氷山が次にどうなるかを熱心に見守っているという。

「こうした氷山についての科学的な情報はあまりありません」と、英国南極調査所の生態学者であるジェレイント・ターリング氏は言う。氏はA68氷山ができた過程は自然現象だと言うが、地球温暖化、特に氷山を生み出した南極地域の気候の温暖化を考えると、それは「ほんの序の口」に過ぎないかもしれないと考えている。

A68氷山はどのようにしてできたのか

 南極半島は地球上で最も急速に温暖化が進んでいる地域の1つであり、半島の東海岸沿いではいくつもの棚氷が崩壊しつつある。南極半島の北端近くにあったラーセンA棚氷は1995年に崩壊した。その南側にあったラーセンB棚氷が2002年に崩壊する様子は、衛星画像によって捉えられ、人々に衝撃を与えた。

 その次に崩壊したのがラーセンC棚氷で、3つの棚氷の中では圧倒的に大きい。2010年に現れた大きくて深い亀裂は、その後も成長を続け、2017年7月についに分離してA68氷山が誕生した。A68はこのとき、米デラウェア州に匹敵する約5700平方キロメートルもの氷の塊で、大きさは元の棚氷の約1割に相当した。(参考記事:「巨大氷山が分離、ナショジオの地図で見る南極の変化」

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