子どもがコロナに感染する・させる割合は大人の半分ほど、研究

アイスランドで国民の半数超をモニタリング、ただし思春期以降はリスクが上昇

2020.12.15
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米メリーランド州ボルティモア市のウォルター・P・カーター小中学校付属幼稚園。2020年11月16日、初めての登園で席に着く子どもたち。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON, THE NEW YORK TIMES)
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 新型コロナウイルスの感染が過去最悪のペースで拡大している米国。多くの州や自治体は、学校を休校にするかどうかという、激しい議論を呼びがちな問題について難しいかじ取りを迫られている。

 そんな中、アイスランドでの最新研究で、子どもが新型コロナの感染拡大にどの程度関与しているのかが明らかになった。

 調査はアイスランド保健局と同国のヒトゲノム解析企業デコード・ジェネティクス社が共同で実施。2020年春、感染したおそれがあるために隔離された国内の全ての人を、大人も子どもも含めてモニタリングした。発生したクラスター間のつながりを特定するため、接触者追跡および遺伝子解析が行われた。

 そのうちの4万人を対象に調査した結果、15歳未満の子どもが新型コロナに感染する割合、および他人にウイルスを感染させる割合は、いずれも大人の半分程度にとどまった。また、子どもの感染例は、ほぼ全てが大人からうつされたケースだった。

「子どもが感染することはありますし、人に感染させることもありますが、いずれも大人ほど多くはありません」とデコード社のカウリ・ステファウンソン最高経営責任者(CEO)は話す。

 最近はこの調査の他にも、感染した大人が子どもにもたらす危険性は、その逆よりもずっと大きいことを裏付ける大規模調査の結果が数多く発表されている。休校は子どもや地域社会への影響が大きく、米疾病対策センター(CDC)も休校をなるべく避けるよう推奨している。そうした中、休校にすべきか、するのならいつすべきかの判断にあたって、今回のような研究がヒントになるかもしれない。

 とはいえ、地域全体で感染が拡大すれば、学校でのリスクも大幅に高まるおそれがある。国全体で感染拡大阻止に失敗している米国では、K-12学校(幼稚園から高校まで)での新型コロナ感染件数が12月10日時点で31万3000件を超えている(※)。

子どもは比較的リスクが低い

 学校で感染症が広まるかどうかは、子どもがどの程度ウイルスに感染しやすいか、そしてどの程度他人に感染させやすいかにかかっている。インフルエンザのように、子どもが感染しやすく、感染させやすいウイルスであれば、学校が地域全体の感染拡大を促進する可能性は高くなる。だがその反対であれば、学校には外部の感染状況が反映されるだけだ。

 子どもと大人の間での感染がどのように起こるのかを知るのに一番よい方法は、学校に通う年齢の子どもがいる家庭を常にモニタリングし続けることだ。頻繁に検査を施すことで、誰が最初に感染するかをリアルタイムにとらえられる。

 これを実行したのがアイスランド政府とデコード社だ。検査や追跡の対象となったのは、ウイルスにさらされた可能性があるために隔離された人全員で、国の人口の半分以上に及んだ。彼らは地域社会からは隔離されたが、多くは家族との接触はあった。その中で大人と子どもを比較した結果、感染拡大において子どもはさほど関与していないことが判明した。

次ページ:思春期以降にリスクが上昇、年齢別の対応を

※編注:子どもの新型コロナウイルス感染症の医学的知見については、日本小児科学会もホームページ(外部のサイトへ移動します)で情報を公開しています。

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