エベレストの山頂を朝日が照らし出す。(PHOTOGRAPH BY EDSON VANDEIRA, NATIONAL GEOGRAPHIC IMAGE COLLECTION)
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 エベレストの頂上に立った登山者は知らないかもしれないが、積雪の下に広がる灰色のまだら模様の岩石は、かつて海底に存在した。

 この岩石が標高9000メートル弱という驚くべき場所に到達したのは、プレートがゆっくり移動しているためだ。プレートは地殻を構成する十数枚の硬い岩盤で、絶えず押し合いへし合いの覇権争いを繰り広げており、その結果は私たちが目にする地形に表れる。ある場所では、プレート同士が遠ざかり、地表に谷ができる。別の場所では、プレート同士が衝突、隆起して山になる。

 チベットとネパールの国境にそびえるエベレストは数千万年前、インドプレートとユーラシアプレートが衝突してできたものだ。衝突によって地質が圧縮され、現在ヒマラヤと呼ばれている全長約2400キロの山脈が形成された。衝突の一部始終は解明されていないが、衝突は今も続いており、エベレストの標高が変化する一因となっている。

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ヒマラヤ山脈の誕生の物語

 ヒマラヤの物語は約2億年前、超大陸パンゲアの分裂と同時に始まった。パンゲアが分裂を始めた後、インドプレートが分裂し、現在アジアと呼ばれている陸塊に向かって北上した。インドプレートは、100年で10メートル以上という地質学的には驚くほどの速さで移動した。

 当時は広大なテチス海がインドプレートとユーラシアプレートの隙間を埋めていたが、インドプレートが北上するにつれて、テチス海は狭くなっていった。高密度の海洋地殻でできた海洋プレートが、ユーラシアプレートを構成する軽い岩盤の南端に沈み込み、いわゆる沈み込み帯が形成された。海洋プレートが大陸プレートの下のマントルにゆっくり沈み込むことで、海底堆積物の厚い層が削られ、ユーラシアプレートの端に積み重なっていった。この砂の層が圧縮されて岩石となり、最終的に山脈の頂になった。

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