エベレスト標高は86cm高い8848.86mに、ネパールと中国が合同発表

ナショナル ジオグラフィックも最新の計測値を採用すると発表

2021.02.12
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
エベレストの北側ベースキャンプから見たロンブク氷河と、エベレスト山頂へ続く道。(PHOTOGRAPH BY RENAN OZTURK, NATIONAL GEOGRAPHIC)
[画像のクリックで拡大表示]

 世界最高峰エベレストの標高を再計測していたネパールと中国政府は12月8日、最新の標高を8848.86メートルと発表した。ネパール政府がこれまで公認してきた高さよりも86センチ高い数字だ。

 両国の政府は、エベレストの正確な高さをめぐる議論に終止符を打つため、それぞれが数年がかりで測量事業を進めてきた。16年ぶりの本格的な測量とあって、地理学の世界でも関心が高く、2015年に発生したマグニチュード7.8の地震が山の高さにどう影響するかを分析する科学者らも、結果発表を待ちわびていた。(参考記事:「エベレストが地震で3センチ反転、標高は変わらず」

 2019年春、少人数から成るネパールの測量チームと山岳ガイドが、厳しい寒さのなか夜間登山を敢行し、現地時間午前3時にエベレスト山頂へ到達した。この時間であれば、他の登山者に邪魔されることなく測量ができるためだ。

「私たちは、自分たちの持てる資源と技術的人材を使って何かを成し遂げられるのだということを伝えたいです」。チームの最高測量責任者キムラル・ガウタム氏は昨年、ナショナル ジオグラフィックに対しそう語っていた。

過去の計測結果

 1856年、インド亜大陸を測量して地図を作製する「大三角測量」に関わっていた数学者のラーダナート・シックダールが、エベレスト山は世界最高峰であることを発見。以降、その正確な高さを計測するために、その時代における最先端の技術を使って測量が行われてきた。(参考記事:「登山史上最大級の謎 エベレスト 幻の初登頂」

 人工衛星を利用した測量が可能になるまで、測量にはセオドライトという装置が使われてきた。指定した2点の間の角度を測る精密光学計器だ。測量チームは重い機材を運びながら、ベンガル湾の海面から北へ向かい、エベレストの山頂が見えるまで、峰から峰へとジグザグに見通し線を引き、それらを一つひとつ計測していった。

参考ギャラリー:エベレスト 幻の初登頂(2020年7月号)(画像クリックでギャラリーへ)
チベット高原を照らす朝日を背に、標高8750メートル地点を行く2人のシェルパ。エベレスト初登頂に挑んで消息を絶った英国人の足跡を探す調査チームの支援に当たった。(PHOTOGRAPHS BY RENAN OZTURK)

次ページ:ネパールの発表が延期された理由

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

2020年7月号

エベレスト 幻の初登頂/大河に迫る水の危機/氷の仏塔と気候変動/峡谷の村のユキヒョウ/世界一高い気象観測所

7月号は「世界の屋根ヒマラヤ」を総力特集。100年前にエベレストで消えた登山家の謎を追う「エベレスト 幻の初登頂」のほか、伝説的なネコ科動物「ユキヒョウ」、何億もの人々を育むヒマラヤの水源に焦点を当てた「大河に迫る水の危機」「氷の仏塔と気候変動」など5本の特集を掲載。

定価:1,210円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加