英国緊急承認でコロナワクチンの“確保レース”が加速、状況は

全体の4分の3、70億回分がすでに購入済、公平さは保たれるのか

2020.12.09
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米ファイザー社と独ビオンテック社が新型コロナウイルス用に開発したワクチン候補の、第3相試験に使われる注射器を手にする医療従事者。2020年10月27日、トルコ、アンカラ大学イブンシーナ病院にて。(PHOTOGRAPH BY DOGUAN KESKINKILIC, ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES)
米ファイザー社と独ビオンテック社が新型コロナウイルス用に開発したワクチン候補の、第3相試験に使われる注射器を手にする医療従事者。2020年10月27日、トルコ、アンカラ大学イブンシーナ病院にて。(PHOTOGRAPH BY DOGUAN KESKINKILIC, ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES)
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 英国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンが緊急承認されたことは、パンデミック(世界的大流行)との闘いにおける歴史的な一歩だ。だがワクチンの専門家らは、各国が先を争って承認を急ぐ動きによって、貧しい国々へのワクチンの供給がドミノ倒し的に数カ月から数年にわたり減るおそれがあると警告する。

 より公平に配分するため、世界保健機関(WHO)とその主要パートナーの一つである欧州医薬品庁(EMA)は現在、英国が12月2日に承認した米ファイザー社と独ビオンテック社のワクチン候補を評価する最終段階に入っている。その前日、EMAはファイザーの承認申請を受理しており、12月29日までに評価を終えると見られている。モデルナ社のワクチン候補についても同様の審査が開始されており、1月12日に完了する予定だ。

「われわれはEMAと共同で評価を行っているため、進行予定はEMAとほぼ同じになります」と、WHOの免疫・ワクチン・生物学担当ディレクターであるキャサリン・オブライエン氏は述べている。「審査結果がどうなるかは確約できませんが、進行中であることは確かです」

 こうした決定は、英国の緊急承認を受けて、ワクチンをめぐる競争がどれだけ加速したかを如実に示している。一方でこの承認によって、米国などの富裕国がワクチンを承認しても、実際にいつ自国の投与分を受け取れるかについては不確実性が増すことになった。

「製造できる量が月を追うごとに増えているため、どの国が権利を持っているのか、はっきりとはわかりません」と、米国デューク大学グローバルヘルス・イノベーションセンターの創設ディレクター、クリシュナ・ウダヤクマル氏は言う。

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