アラスカ沖の火山列島、実は1つの巨大火山か

海底に巨大カルデラ? 過去に大噴火の可能性、学会で発表

2020.12.08
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米アラスカ州のフォー・マウンテンズ諸島は、実際にはこの4つを含む6つの火山で構成される。写真中央のクリーブランド山は、アリューシャン列島で最も活発な火山のひとつ。上空には主要な航空路があるため、この列島の火山災害に関する研究は極めて重要だ。「ここは僻地だと思われており、実際そうなのですが、その9000メートル上空を毎日何万人もの人が通過しているのです」と地球物理学者のジョン・パワー氏は語る。(PHOTOGRAPH BY NASA)
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 米アラスカ州南部沖にあるフォー・マウンテンズ諸島(IFM)という火山列島は、実は1つの巨大なカルデラの一部かもしれない。その可能性を示す証拠が、12月7日に米地球物理学連合(AGU)の年次大会で発表された。もし本当なら、その巨大な火山はかつて、1980年のセントヘレンズ山の大噴火が小さく見えるほどの大爆発を起こした可能性がある。(参考記事:「特集:シリーズ 地球と、生きる セントヘレンズ山」

 巨大火山説が提唱されたIFMは、アリューシャン列島の一部であり、ハーバート、カーライル、クリーブランド、タナ、ウリアガ、カガミルの6つの山が半円形に並ぶ場所のことだ。長い間それぞれ別の火山だと思われてきたが、実はずっと大きい1つの火山性カルデラの縁に沿って並ぶ噴火口かもしれないという。

 ただし、この仮説が立証されたとしても、必ずしもいずれ大災害が起こると予想されるわけではない。

「この研究結果は、災害予測の変更を促すものではありません」と、今回の研究を発表した米地質調査所およびアラスカ火山観測局の地球物理学者ジョン・パワー氏は述べている。「私たちはここで危険なことが起こると予想しているのではありません」(参考記事:「米国立公園が20年にわたり謎の上下動、新たな仮説」

理解に困る奇妙な特徴

 科学者らが2014年に初めてIFMに向かった目的は、巨大噴火の証拠探しではなく、考古学的調査のためだった。続く第2陣の科学者らが、数年間かけてこの火山群の地質構造を調査した。

 研究者らは、地震計で微小な振動をとらえたり、地下から放出されるガスの組成を化学的に分析したりするなど、さまざまな技術を組み合わせて調査した。ところがデータを調べていくと、理解に困る特徴がたびたび見つかった。その原因が大昔に起こった大規模な噴火にあるのではないかと気づいたのは、ごく最近のことだった。

 最初の謎は、IFMの火山が奇妙な半円形に密集していることだった。1つの説明として考えられたのが、カルデラだった。

 カルデラは、地下の巨大なマグマだまりが突然空洞化し、地面が陥没することによってできる大きな凹地である。カルデラの形成とともにできる多数の割れ目を通って、マグマが地表に流れ出すこともある。そのためカルデラの縁や中心部には火山群があることが多い。

 IFMの場合、極寒の海底に幅約19キロメートルのカルデラがあり、6つの火山は、カルデラの周りに形成された一連の地質構造なのではないか。研究者らはそう考えた。(参考記事:「本当に恐ろしい「カルデラ噴火」とは」

参考ギャラリー:大迫力、空から至近距離で撮ったハワイの溶岩 10点(画像クリックでギャラリーへ)
米国ハワイ島、キラウエア火山から流れる溶岩流。ドローンを使って撮影した。(PHOTOGRAPH BY EREZ MAROM)

次ページ:噴火の規模は?

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