鳥、ゾウ、昆虫などいろいろ 「幸運を呼ぶ」動物になった理由

幸運のしるしとされる動物は世界各地で多様だが、どんな経緯があるのだろう?

2020.11.21
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米国では、テントウムシ(写真はナナホシテントウ)は、それが体にとまった人物に幸運をもたらすと言われている。(PHOTOGRAPH BY RICH REID, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 翅に水玉模様をもつテントウムシを、幸運をもたらす動物と考える地域は世界各地にある。米国でも、テントウムシが体にとまったら、それは幸運の兆しだと考えられている。

 米カリフォルニア大学バークレー校のケルト学教授ダン・メリア氏によれば、テントウムシがキリスト教における主要人物である「聖母マリアに捧げられた」虫であることがその理由だ。テントウムシは英語でladybug(貴婦人の虫)と呼ばれ、「つまり『our lady(聖母マリア)の虫』という意味なのです」と、同氏は説明する。

 インドでも、テントウムシの名は神と結びつけられており、サンスクリット語で「インドラの羊飼い」を意味する名で呼ばれている。「インドラ」とはヒンドゥー教の神のことだ。(ちなみに日本では「お天道様に向かって飛ぶ」様子が名前の由来とされる)

求愛ダンスを踊るタンチョウのつがい。日本、北海道。(PHOTOGRAPH BY ROY TOFT, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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ツル

 アジア、とくに中国と日本では、タンチョウは幸運な存在とされている。ツルは「長寿と結び付けられ、1000年生きると考えられている」(イワート氏)からだ(実際には、タンチョウの野生での寿命は30年程度)。(参考記事:「タンチョウはこうして絶滅の危機からよみがえった」

 イワート氏によると、ツルの仲間は世界中で「普遍的に幸運な存在」とみなされているという。その理由の1つは、背が高く優美な姿をしたツルのつがいは、何年にもわたって互いに強い絆で結ばれ、つがいの相手が死ぬまで一緒にいるからなのかもしれない。

 タンチョウの求愛ダンス(動画)は「活力に満ちあふれています」と、イワート氏はいう。「タンチョウは純粋な幸せの象徴なのです」

ゾウ

 ゾウは中国では幸運のしるしであり、またインドでも、ゾウの頭を持つヒンドゥー教の神ガネーシャと結び付けられる。(参考記事:「ガンを防ぐ「ゾンビ」遺伝子、ゾウで発見」

 ヒンドゥー教におけるガネーシャは、障害物を取り除いてくれる存在であり、特に何かを始めようというときにはご利益があるとされる。

 仏教では、灰色のゾウは、激しく動揺し、破壊的にもなり得る未熟な精神を象徴している。仏教を実践すれば、心は抑制され、強く、穏やかになる。この状態になった心は、白いゾウによって表される。

幸運の動物がいないアイルランド

 幸運の動物が存在しない国もある。よく知られるのがアイルランドだ。

 アイルランドにおいて動物が民話の中で擬人化されていないことや、動物たちが幸運のしるしとみなされていないことは「文化的に顕著」だと、メリア氏は話す。ほかの地域には、あまり見られない特徴だ。(参考記事:「おすすめ! アイルランド、自然満喫のドライブ旅」

 アイルランドではラグビーチームのマスコットでさえ、動物ではなく、植物のシャムロック(クローバー類などの三つ葉をつける草の総称)になっている。

参考ギャラリー:世界の美しい鳥たち6(画像クリックでギャラリーへ)
「起きて」(タンチョウ) Hokkaido, Japan(Photograph By Youichi Isogawa, National Geographic Your Shot)

訳=北村京子

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