鳥、ゾウ、昆虫などいろいろ 「幸運を呼ぶ」動物になった理由

幸運のしるしとされる動物は世界各地で多様だが、どんな経緯があるのだろう?

2020.11.21
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ヨーロッパのヒース(荒野)にいるボグブッシュクリケット(キリギリス科)。鳴く虫である彼らは幸運のしるしと考えられている。(PHOTOGRAPH BY CISCA CASTELIJNS, MINDEN PICTURES/NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 インドからエジプト、アメリカ大陸まで、世界各地、それぞれの文化に縁起ものとされる動物がいる。

川魚

 カンボジアでは、魚が「健康、幸福、幸運」をもたらすとされている。中でも地元の人が「トリ・カントロップ」と呼ぶ川魚は、特に縁起が良いとされていると、米ウェスタンケンタッキー大学の民俗学者バリー・コーフキンズ氏は言う。

 10年ほど前、健康問題の研究のためにカンボジアに滞在していたカナダ人医師クリストファー・チャールズ氏は、魚、とりわけトリ・カントロップが、カンボジアの人々に非常に珍重されていることに気付いた。

 そこでチャールズ氏は、住民の鉄分補給に役立つよう、鉄の塊を魚の形にして配布することを思い付いた。鍋に入れるなど、調理のときにいっしょに使えば、鉄分が料理の中に自然と溶け出す。味にも影響しない。

 この鉄製の魚は「ラッキー・アイアン・フィッシュ(幸運の鉄の魚)」と名付けられ、短期的に鉄分を補ってくれる商品として人気となっている。

コオロギなど鳴く虫

「コオロギなどの鳴く虫は、アジアやヨーロッパで幸運のシンボルになっています」。こう話すのは、フロリダ大学ジョージ・A・スマザーズ図書館の民俗学研究者ジーン・イワート氏だ。

 チャールズ・ディケンズの小説『The Cricket on the Hearth(邦題:炉辺のこおろぎ)』にも見られるように、ペットとして飼育されていた例もある。

「コオロギを殺すことは不運につながると考えられていました。なぜなら、コオロギは鳴くだけで、だれも傷つけないからです」とイワート氏は言う。

スカラベ

 古代エジプトで、重要な護符(お守り)となったのがスカラベだ。この護符は、エジプトによくいるフンコロガシの仲間ヒジリタマオシコガネ(Scarabaeus sacer)をかたどって作られている。(参考記事:「ギャラリー:コガネムシの肖像 写真11点」

 米テネシー大学マクラング博物館によると、この甲虫は「キリスト教徒にとっての十字架と同じように、古代エジプト人にとって神聖さの象徴」だという。

 ミイラを包む布にスカラベの像を縫い付けておけば、来世においてもその人物に幸運をもたらすと信じられていた。

スカラベとも呼ばれるエジプトの糞虫は、古代エジプトでは神聖な存在と考えられていた。(PHOTOGRAPH BY RONAN DONOVAN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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