ミンク1500万匹を殺処分へ、変異コロナ発見で、デンマーク

214人がミンク関連ウイルスに感染、原因は密な飼育環境、乏しい遺伝的多様性か

2020.11.09
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
デンマークは、ミンクから人への新型コロナウイルスの感染を防ぐため、国内で飼育されている1500万匹のミンクをすべて殺処分する予定だ。 (PHOTOGRAPH BY MADS CLAUS RASMUSSEN, RITZAU SCANPIX, AFP, GETTY IMAGES)
[画像のクリックで拡大表示]

 11月4日、デンマーク当局は、新型コロナウイルスの感染者200人以上が、毛皮農場のミンクに関連していると見られると発表した。この事実は、ミンクから人への感染が想定以上に多いことを示している。しかし感染者の大半は、ミンクから直接感染したわけではなく、農場労働者などを介して感染した可能性が高いという。

 デンマーク当局は、人への感染を防ぐ措置として、国内のおよそ1200カ所の毛皮農場で飼育されている1500万匹のミンクをすべて、今後数週間のうち殺処分する計画だと述べた。デンマーク国内の少なくとも220カ所の毛皮農場のミンクが、新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示した。

 今回の決定は、同国の公衆衛生当局であるデンマーク国立血清研究所の調査結果が発端となっている。その結果によると、ミンクと人の間を行き来しているウイルス株は変異しており、開発中のワクチンの有効性を弱める可能性があるため、早急な対応が必要だと訴えた。なお、この調査結果は、専門家による査読を受けていない。

 AP通信によると、デンマークのマグナス・ヒューニッケ保健大臣は、感染者の新型コロナウイルスのゲノムを解析した結果、同国北部の感染者783人のうち半数がミンクに関連した感染であることがわかったと、記者会見で述べた。しかしその後、国立血清研究所が公表した研究報告によると、この人数はより少なくなっている。検査の結果、少なくとも214人がミンクと関連して新型コロナウイルスに感染したという。この研究報告も、専門家による査読を受けていない。

 デンマークは中国とともに世界最大のミンク毛皮の生産国の一つであるため、全頭殺処分をすると毛皮産業に多大な影響が出るだろう。同じくミンク毛皮の主要な生産国であるオランダは、ミンクの間で新型コロナウイルスの感染が拡大し、少なくとも2人の農場労働者が感染したという調査結果を受け、ミンク産業の閉鎖スケジュールを早める計画を6月に発表した。オランダは、パンデミックの発生前から、2024年までにミンク産業を段階的に縮小する計画だった。現在は計画を前倒しして、2021年初頭までに全業務を停止する予定だ。一方、中国はミンク産業に関する変更については、一切発表をしていない。(参考記事:「新型コロナウイルスが廃止早める オランダのミンク産業」

次ページ:密な飼育環境、乏しい遺伝的多様性

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

PHOTO ARK 消えゆく動物

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト

今まさに、地球から消えた動物がいるかもしれない。「フォト・アーク」シリーズ第3弾写真集。 〔日本版25周年記念出版〕

定価:本体3,600円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加