サメ保護に朗報 漁のコントロールは各国で可能、最新研究

フカヒレのためのサメ漁、漁場は公海ではなく、各国が管理可能な水域がほとんど

2020.11.03
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フカヒレの形が崩れないよう、石をぶら下げて乾燥させる。最新の研究によれば、市場で取引されているフカヒレの大部分は、公海ではなく各国の排他的経済水域(EEZ)で漁獲したサメから採取されたものだという。(PHOTOGRAPHS BY FEDERICO BORELLA)
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 アカシュモクザメ、オオヒレメジロザメなどの希少種から持続可能な漁業に適した普通種まで、毎年最大7300万頭のサメのヒレが、フカヒレスープなどアジアの伝統料理の材料として取引されている。一般に、フカヒレ取引は公海で漁獲されたサメのヒレが大部分を占めるとされてきた。公海での漁業に関するルールはあいまいで、加えて取り締まりも難しいため、サメを保護する活動を複雑なものにしている。 (参考記事:「シュモクザメの立体視覚は人間並み」

 しかし、そうしたこれまでの認識を覆す論文が10月28日付けで学術誌「Biology Letters」に発表された。この論文によれば、アジア、北南米の市場で取引されているフカヒレの多くは、特定の国の排他的経済水域(EEZ)で漁獲したサメのものだというのだ。EEZは海岸から近いため、フカヒレ取引の管理は、考えられていたより容易だろうと研究チームは述べている。 (参考記事:「フカヒレ販売禁止に賛否、サメを守れるのか、米国」

 研究を率いた米モントレーベイ水族館の主任研究員カイル・バン・ホータン氏は「サメが公海ではなくEEZで漁獲されているとしたら朗報です。EEZで起きていることなら、国が管理できますからね」と話す。「EEZの権利を保有する国の単独責任になります」

 バン・ホータン氏のチームは市場で入手したフカヒレのDNAを解析し、生息地モデルを用いて種とその生息地を特定した。 (参考記事:「フカヒレDNA鑑定、乱獲地域を特定」

 バン・ホータン氏はDNA解析の進歩について、「市場で小さなヒレを入手して試料にするだけで、採取したサメの種と生息地に関する様々な知見が得られます」と説明する。具体的には、種の特定の精度が上がっただけでなく、個体と既知の個体群の遺伝子特性を比較できるようになった。「古い手法では検出不可能だった、沿岸の希少種の全く異なる個体群が見つかっています」

 また、ヨシキリザメ、オナガザメ、ヨゴレザメなど、外洋に生息する種もEEZで漁獲されている可能性が高いことが分かった。例えば、ヨシキリザメは外洋に暮らす種だが、米国カリフォルニア州のモントレーベイ水族館からそう遠くない釣り桟橋で捕まることもあるとバン・ホータン氏は話す。

 生息地モデルの専門家として研究に参加したカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学の助教ガブリエル・レイゴンドー氏は「すべての種にそれぞれ好ましい環境があります。生存可能な水温の範囲、繁殖に適した水温などです」と説明する。同氏は、種の好適な生息環境と衛星データを組み合わせて、条件に合う可能性が高い生息地を予測した。

サメを水揚げする漁師。インドネシア、ロンボク島のタンジュンルアーで撮影。インドネシアはフカヒレの主要輸出国で、多くのフカヒレがこの漁村から出荷されている。(PHOTOGRAPHS BY FEDERICO BORELLA)
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次ページ:各国の政治判断で漁獲管理は可能

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