人類が宇宙に滞在し続けて20年目の日、人類の偉業ISS

国際宇宙ステーションの試練、成果、未来とは

2020.11.02
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2018年10月に国際宇宙ステーション(ISS)を離れた3人のクルーが撮影した写真。地球の青く薄い大気の上に、ISSが大きく浮かび上がっている。技術的にも外交的にも大きな成功を収めたISSでは、2000年11月2日以来途切れることなく人間が生活し、働いている。(ROSCOSMOS/NASA)

 2000年のハロウィーン(10月31日)は歴史的な日となった。米国人1人とロシア人2人の宇宙飛行士を乗せたロシアのソユーズロケットが、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、完成したばかりの国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられたのだ。

 クルーは2日後にISSに到着。それから20年間、地球低軌道上のISSには人間が1日も途切れることなく生活し、仕事をしている。

 ISSは、人類史上最も高価で技術的に複雑な建造物の1つだ。1500億ドル(16兆円弱)を投じて建設され、サッカー場ほどの大きさがあり、地球の上空408kmを秒速7.7kmの猛スピードで飛行している。居住空間は地上と同じ1気圧に与圧されており、これまでに世界各国の男女241人が滞在してきた。

「この20年間、誰も大きなけがや病気をしなかったことは驚きです」と、ISSに340日間連続で滞在したことがある元米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士スコット・ケリー氏は言う。「この仕事に地上のスタッフがどれだけ真剣に取り組み、細部にまで注意を払ってきたかがよくわかります」(参考記事:「340日ぶり宇宙からの帰還、現場はカオスだった」

 1980年代半ばにNASAでISSの設計に携わったデイビッド・ニクソン氏によれば、巨大なISSの設計、建設、打ち上げ、運用には10万人を超える人々が協力してきたという。「人類が文明の黎明期から築いてきた偉大な建造物に例えるならば、ISSはピラミッドやアクロポリスに匹敵します」

2000年12月に撮影。ISSの最初の居住者となった第1次長期滞在クルーのユーリー・ギドゼンコ氏(ロシア=左)、ウィリアム・シェパード氏(米=中央)、セルゲイ・クリカレフ氏(ロシア=右)が新鮮なオレンジを食べようとしているところ。(PHOTOGRAPH BY NASA)

「小さな国連」

 そうした地上にある不朽の建造物と同じく、ISSも長い歳月をかけて建設された。1984年に米国で宇宙ステーション「フリーダム」の構想が発表されたのをきっかけに、やがて米国、カナダ、日本、ロシア、および欧州宇宙機関(ESA)に加盟する11カ国を加えた計15カ国が参加するプロジェクトに発展した。

 1998年にはISSの最初の部品が軌道に到着し、2000年11月2日には冒頭で触れた第1次長期滞在クルーがISSでの滞在を開始した。現在は第64次長期滞在クルーがISSで生活している。

次ページ:ISSとクルーたちの試練

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