致死率30%超、スーパー耐性菌がコロナの陰で流行拡大の恐れ

治療も消毒も困難なカンジダ・アウリス、世界中の医師が警鐘

2020.10.29
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カンジダ・アウリスのCGイラスト。単細胞真菌であるカンジダ・アウリス(Candida auris)は、2009年に初めて報告された。強い薬剤耐性があり、院内感染で広がりやすく、死亡率が高い。血液、皮膚、耳に感染症を引き起こすほか、呼吸器や尿の検体からも分離されている。(ILLUSTRATION BY SCIENCE PHOTO LIBRARY / ALAMY STOCK PHOTO)
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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るうなか、あらゆる薬剤に耐性を持つこともあるスーパー(超多剤)耐性菌カンジダ・アウリス(Candida auris、カンジダ・オーリスとも)の感染が一部で拡大していると、医師たちが警鐘を鳴らしている。カンジダ・アウリスは特に院内感染で広がりやすく、今年はコロナ患者であふれる医療現場に大きな負担がかかっているためだ。

 カンジダ・アウリスは、シーツ、ベッドの手すり、ドア、医療器具などに付着して長時間生存し、そこに人の手が触れると感染が広がる。また、カテーテルや人工呼吸器、流動食など、体内へ管を挿入するときに感染するリスクが高い。コロナで入院した患者は、呼吸器系がやられるため、こうした措置を受ける機会も多い。

「残念なことに、一部の地域でカンジダ・アウリスが拡大しています」と、米疾病対策センター(CDC)の真菌症部長トム・チラー氏は言う。「救急病院やコロナ病棟にまで広がっているところもあります。いったん感染が発覚すると、完全に取り除くのが難しいので、非常に心配です」

 カンジダ属の真菌は、元々舌や性器に白い斑点ができる程度の軽い症状を引き起こすことで知られていた。ところが、カンジダ・アウリスは2009年に帝京大学の槇村浩一教授らが初めて報告してから、少なくとも40カ国で報告され、数千人の感染者が出ている。日本型の病原性は低いものの、致死率が30~60%にのぼるタイプもある。

 薬剤に耐性を持つ菌は、カンジダ・アウリスだけではない。既に世界では、数百万人が様々なスーパー耐性菌に感染しており、カンジダ・アウリスの感染拡大はその危機をさらに悪化させる恐れがある。2019年、CDCはカンジダ・アウリスを米国の薬剤耐性菌のなかでも最大級の脅威と位置付けた。今年は8月末までに、米国内で1364件の感染が確認されている。2018年全体の感染者数と比較して4倍強だ。

 だが今年は、新型コロナの陰で見逃されているカンジダ・アウリスのケースも多く、実際の数字はそれよりもはるかに高いとみられる。菌が人の皮膚に付着しても、症状を示さない場合がある。新型コロナの流行中に急増している超過死亡数の中に、スーパー耐性菌による死者が含まれている可能性もある。世界中の医師たちが警鐘を鳴らしているのはそのためだ。

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