東アジア原産のオオスズメバチが、まだ数は少ないものの米ワシントン州北西部に定着した。研究者らは、その巣を全て発見して駆除するため、懸命な作業を行っている。この写真は日本で撮影された。(PHOTOGRAPH BY NOBUO MATSUMURA, ALAMY)
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 米国内で初めて、使用中のオオスズメバチの巣が発見された。オオスズメバチは米国にとって侵略的外来種(在来生態系に大きな影響を及ぼし得る外来生物)であり、ちまたでは「殺人スズメバチ」と呼ばれて恐れられている。

 巣は10月22日、西海岸のワシントン州の町ブレインで見つかった。木の空洞の中に作られており、24日にワシントン州農業局(WSDA)の昆虫学者らによって駆除された。

 今回の発見は、この世界最大のスズメバチが米国に定着するのを防ぐうえで、重要な節目になると科学者らは言う。

「(巣が)見つかったと発表できるのを大変うれしく思います」とWSDAの昆虫学者スベン・スピシガー氏は23日の記者会見で語った。自分たちの追跡技術が樹木の密生する同地域でうまく機能するかどうか、実際に巣を見つけるまで確信を持てなかったと氏は言う。

 WSDAは23日、公式ツイッターに「噂は本当でした。昨日夕方、当局の昆虫学者が国内で初めてオオスズメバチの巣を見つけ出しました」と投稿した。

 オオスズメバチは2019年の秋にワシントン州で初めて目撃され、国内に動揺が広がった。食欲旺盛な捕食者であるオオスズメバチは、特にミツバチにとって非常に危険であるうえ、ワシントン州だけでなく米国西海岸全域にまで拡散する可能性があるとWSDAの昆虫学者クリス・ルーニー氏は警鐘を鳴らす。

 オオスズメバチの分布拡大を防ぐには、働きバチを1匹ずつ殺すのではらちが明かないとルーニー氏は言う。そこでWSDAの科学者らは、協力者とともにワシントン州北西部の各所に数千個のわなを仕掛けた。ハチを生きたまま捕らえ、追跡装置を付けて巣を見つけようというのだ。

 今回の発見につながったのは、2020年10月21日と22日にビン入りのエサにつられてわなにかかった合計4匹の働きバチだった。そのうちの3匹のメスの働きバチに無線追跡装置を装着したところ、1匹から巣の位置が特定された。オオスズメバチは通常は地中に巣を作るが、この巣は私有地に立つ木の空洞の中にあった。

次ページ:未発見の巣はいくつあるのか?

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