宇宙飛行士になれるのはどんな人? NASAの選考責任者に聞く

火星着陸などミッションを成し遂げるのに不可欠な宇宙飛行士の「ライトスタッフ」とは

2020.10.18
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

――1万2000を超える応募書類をチェックしていて、目を引くのはどんな人でしょう?

 私たちは、ストレスの多い環境にありながら、短時間で決断を下すような状況を経験していることを重視しています。そのような仕事に直接就いていなくても、同様の経験をしたと見なせる経験はあります。例えば、南極に行ったことがある人や、自然の中でレスキュー活動に従事したことがある人などです。履歴書にチームワークやリーダーシップの経験が書かれていることも重要です。応募者の多くが自家用飛行機の操縦士の資格を持っているようです。

 大量の履歴書をチェックしていると、ユニークなものに目を引かれることもあります。趣味や関心について記入する欄がありますが、応募者たちは本当にいろいろなことをしていますね。マラソンを25回完走した人もいれば、スキューバダイビングの経験が300回に達している人もいます。

――特に印象に残った趣味があれば教えてください。

 間違えば、身体に危険が及ぶような挑戦をしている人がいます。また、美術を趣味にしている人もいますし、科学的な趣味やSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の趣味を持っている人もいます。

 本当に多種多様です。選考に入る前に読んだものですが、私がお気に入りのユニークな履歴書を紹介しましょう。学歴は「ホグワーツ魔法魔術学校」(ハリー・ポッターシリーズに登場する学校のこと)卒業で、最初の就職先はSNASA、つまりシークレットNASAというものでした。

――人格面で宇宙飛行士に求められる特性はありますか?

 重要なのは対人スキルですね。具体的には、チームワーク、フォロワーシップ、リーダーシップ、コミュニケーション能力といったものです。理想的な状況だけでなく、ストレス下でどのように他者とコミュニケーションを取るか? 私たちは本当に、高い能力を求めています。宇宙船に乗り込み、ほかの飛行士の隣に座ったとき、結局考えることは「私はこの人と一緒に飛びたいか?」ですからね。

 月面着陸ミッションや、火星に到達するという目標を考えてみてください。極めて長期にわたるミッションでは、宇宙飛行士たちは次のようにお互いを評価することになるでしょう。「私はこの人と狭い空間に閉じ込められたとき、何も心配ないという安心感を得られるだろうか? 私はこの人とうまくやっていくことができるだろうか? 互いを思いやることができるだろうか?」 (参考記事:「地球から最も遠くへ行った人物は?」

――長期間のミッションに適した特性とは何でしょうか?

 緊急事態に陥ったときなどは、責任者として命令を出し、周りから尊敬される行動をとる必要があります。一方で、管制センターの命令に必ず従わなければならないときもあります。自分のスキルセット、さらには、人格をうまく調整し、そのとき必要な準備を整える方法を知っていなければなりません。 (参考記事:「「若田光一、宇宙を語る」 これから 「透明な船長」になりたい」

参考ギャラリー:スペースX宇宙船が帰還、宇宙飛行士が見た景観 写真17点(画像クリックでギャラリーへ)
スペースX社の宇宙船クルードラゴン(右)がISSにドッキングしている。7月1日撮影。クルードラゴンはNASAの宇宙飛行士ダグラス・ハーリー氏とロバート・ベンケン氏を乗せて米東部時間2020年5月30日に打ち上げられた。米国からの有人宇宙船の打ち上げは2011年以来。両氏は63日間のISS滞在中、NASAの宇宙飛行士クリストファー・キャシディ氏およびロシアの宇宙飛行士アナトーリ・イワニシン氏とイワン・ワグナー氏とともに、仕事中の飛行士や地球の写真を数多く撮影した。(PHOTOGRAPH BY CHRIS CASSIDY)

次ページ:宇宙船の多様化が門戸を広げる理由

おすすめ関連書籍

COSMOS コスモス いくつもの世界

カール・セーガンが残した、世界4000万部の不朽の名著「COSMOS」。40年ぶりの続編が満を持して登場。〔日本版25周年記念出版〕

定価:本体2,700円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加