顕微鏡写真コンテスト2020、驚くべき受賞作20点

最優秀作品はゼブラフィッシュのリンパ管まで描写

2020.10.15
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生きたゼブラフィッシュの稚魚を背面から撮影したこの一枚が、今年の「ニコン・スモールワールド顕微鏡写真コンテスト」の最優秀賞に輝いた。米国立衛生研究所の研究者ダニエル・カストラノバ氏は、幻想的な効果を出すため、同僚のバカリー・サマサ氏とともに蛍光たんぱく質を利用してリンパ管(オレンジ)とうろこ(青)を目立たせ、350枚以上のフレームをつなぎ合わせた。(DANIEL CASTRANOVA, BRANT WEINSTEIN, AND BAKARY SAMASA, EUNICE KENNEDY SHRIVER NATIONAL INSTITUTE OF CHILD HEALTH AND HUMAN DEVELOPMENT, NATIONAL INSTITUTES OF HEALTH; COURTESY OF NIKON SMALL WORLD)

 研究者であるダニエル・カストラノバ氏がこの一枚を撮影したのは、順番を待つ同僚に顕微鏡を明け渡す直前のことだった。米国メリーランド州にある国立衛生研究所ブライアント・ワインスタイン研究室の顕微鏡撮影装置は、何百枚ものフレームを撮影し、後でそれらをつなぎ合わせる。これまで見たことのない細かい部分まで明らかにしようと、カストラノバ氏はミクロの世界にフォーカスを合わせた。

 レンズの下にあるのは、生きた状態でゼリーの中に入れられたゼブラフィッシュの稚魚だ。最後の一枚として、頭部からズームアウトし、全身の写真を撮影すると、すぐにそのことは忘れてしまった。2週間後、画像を貼り合わせていたカストラノバ氏は、出来上がった写真に息をのんだ。「すごくきれいに撮れているぞ、と思いました」

 現実のものとは思えないその美しい写真が、後に、カストラノバ氏の研究チームに画期的な発見をもたらすことになる。ゼブラフィッシュの頭骨の中に、哺乳類のものとよく似たリンパ管があることがわかったのだ。リンパ管は免疫系にとって重要なリンパ液を運び、アルツハイマー病を含む数多くの神経疾患に関係している。ゼブラフィッシュは繁殖サイクルが早く、稚魚は半透明の体をしているので、研究に向いている。この魚を使ってリンパ系の研究ができるなら、人間のリンパ系に関する理解が深まるだろう。

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虹色のくしがいくつも集まったかのような写真は、淡水に生息するカタツムリの舌の表面だ。正確には歯舌と呼ばれ、細かい歯で覆われている。これを使って食べ物を削り取り、消化できる大きさにする。撮影者は、米ハワード・ヒューズ医学研究所のイゴール・シワノウィッチ氏。(IGOR SIWANOWICZ, HOWARD HUGHES MEDICAL INSTITUTE; COURTESY OF NIKON SMALL WORLD)
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ほとんどの種のガは、光を吸収して反射を防ぐナノ構造で覆われた目を持つ。つまり、暗闇の中で目が光らないため、敵に気付かれずに移動できる。インドネシア人の写真家アーマド・ファウザン氏が撮影したこの写真には、ボゴングガの黒々とした片目と、ふさふさの頭部、丸まったストロー状の口吻が写っている。(AHMAD FAUZAN, SAIPEM; COURTESY OF NIKON SMALL WORLD)

 美しい画像であり、重要な科学的可能性を秘めていること。この2つを併せ持った写真こそ、「ニコン・スモールワールド顕微鏡写真コンテスト」の理想を象徴する作品と言える。第46回目となる2020年のコンテストには、世界各国から数千点の応募作品が寄せられた。そのなかから、科学者や写真家、ジャーナリストの審査員たちが20作品を選び、最終的にカストラノバ氏の写真が最優秀賞に輝いた。

 ニコンは、声明のなかで次のように述べている。「研究や創造性、画像技術、そして専門知識が融合し、科学的発見につながることを示す作品を紹介できるのは、光栄です。今年の最優秀作品は、その最も良い例だと言えます」

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文=OLIVER WHANG/訳=ルーバー荒井ハンナ

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