今年の米国のハリケーンシーズンは記録的な厳しさとなっている。先日は、名前の付いた暴風雨としては25個目となる「デルタ」が、すでにハリケーン被害に苦しめられていたメキシコ湾沿岸地域に襲いかかった。しかもハリケーンシーズンは、まだ数週間残されている。
ハリケーン「デルタ」は、メキシコ湾の温かい海水によって大いに勢力を増した。こうした例は、地球温暖化が進行するにつれて、より頻繁に見られるようになっている。
先月、学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された新たな研究は、浅く温かい湾岸水域への暴風雨の影響が、高い気温と相まって、その次にやってくる嵐をはるかに強力なものへと増幅させる仕組みについて説明している。
デルタはどうやら、そうした嵐の例には当てはまらなかったようだ。しかし、今シーズンの主要なハリケーンであるサリーとローラの勢力が増した背景には、前述のような条件が作用した可能性があると、同研究の筆頭著者である、米サウスアラバマ大学の海洋学者ブライアン・ドウォンコウスキー氏は述べている。
2018年の夏の終わり、ゴードンと名付けられた小型の熱帯低気圧がメキシコ湾北部を横断した。ゴードンはごく標準的な暴風雨で、大半の熱帯低気圧と同じように、数百万ドル分の損害を出し、沿岸住民にたっぷりとストレスを与えた。
しかし、この嵐によって引き起こされた一連の出来事は、数週間後、ゴードンよりもはるかに大型で壊滅的なハリケーン「マイケル」に多大な影響を及ぼした可能性がある。
マイケルは沿岸に近づくにつれて急速に勢力を強めた。フロリダに上陸するころには、カテゴリー5の猛烈なハリケーンに成長し、16人の死者と数十億ドル分の損害をもたらした。
ゴードンとマイケルの間に、明らかな関連性は見られなかった。時間的にも空間的にも、これら2つの暴風雨は互いに大きく離れていた。しかし新たな研究は、ゴードン自体と、ゴードンの通過後に発生した熱波の影響によって、マイケルが勢力を大いに強め、フロリダ西部に上陸した史上最強の暴風雨へと発達したことを示している。
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