Netflix「タイガーキング」出演者がまた起訴、動物虐待ほか

摘発相次ぐ私設「ロードサイド動物園」の問題、異例の越境捜査の成果

2020.10.14
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バガバン・“ドク”・アントル氏が、自身の所有するマートルビーチ・サファリでトラとポーズを取る。2018年撮影。氏はライオンの違法取引および虐待などの罪で起訴された。(Photograph by Steve Winter, National Geographic)
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 米国のテレビ番組「タイガーキング」の登場人物で、サウスカロライナ州にある人気の私設動物園の所有者バガバン・“ドク”・アントル氏が、ライオンの違法取引や虐待など15の罪によりバージニア州で起訴された。

 今年3月に配信が始まったNetflixのドキュメンタリーショー番組「タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!」では、主役の“ジョー・エキゾチック”ことジョゼフ・マルドナド=パッセージ氏が悪名をとどろかせた。(参考記事:「トラ虐待と殺人依頼の罪で22年の刑に、米国の“タイガーキング”」

 今回起訴されたアントル氏はそのずっと前から、自身が所有する動物園「マートルビーチ・サファリ」の顔として有名だった。氏が37年前に設立し、3人の恋人と自分の子どもたちとともに経営するこの施設は、赤ちゃんトラを抱けることで以前からセレブに人気だった。アントル氏や子どもたちのTikTokやインスタグラムには数百万人のフォロワーがいる。

 バージニア州司法長官事務局は10月8日、アントル氏を重罪にあたる野生動物違法取引1件および野生動物違法取引の共謀1件、軽犯罪にあたる絶滅危惧種法(ESA)違反の共謀4件および動物虐待9件で起訴した。

 今回の起訴は、アントル氏とキース・ウィルソン氏の間で行われたライオンの違法な売買と輸送を、数カ月にわたり捜査し続けた結果だ。ウィルソン氏はバージニア州ウィンチェスターにある「ウィルソンズ・ワイルドアニマルパーク」の所有者であり、アントル氏と同じ罪に加え、4件の共謀罪で起訴されている(ウィルソン氏はすでに、2019年11月に行われた強制捜査に関連して46件の動物虐待で訴えられ、飼育していた動物のうち119頭が押収されていた)。

 ライオンは絶滅危惧種法で保護されている種であり、州境を越えて売買することは違法だ。

 アントル氏の娘2人も、動物虐待と絶滅危惧種法違反の罪で起訴されている。今回の件についてアントル氏、マートルビーチ・サファリ、ウィルソン氏にコメントを求めたが、回答はなかった。

 一方、タイガーキングの主役、“ジョー・エキゾチック”は、殺人の共謀およびトラ殺害の罪で22年間の服役中だ。タイガーキングに出演した他の私設動物園の所有者らも、同様に罪に問われている。ジェフ・ロウ氏は動物を一般公開する免許を剥奪された。ティム・スターク氏は、動物虐待および絶滅危惧種法違反で有罪判決を受けた(さらに10月8日、連邦当局から動物を隠そうとした疑いで、数週間にわたる逃亡の末に逮捕された)。

「ロードサイド動物園」問題がまた1つ明るみに

 タイガーキングは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で外出禁止令が出され始めた3月に配信が開始され、たちまち爆発的な人気を博した。だが評論家らは、この番組が「ロードサイド・ズー」と呼ばれる私設動物園の悲惨な現実に目をつぶっていると指摘していた。

 沿道などに作られるこの類いの動物園の多くでは、客が赤ちゃんトラを抱いてかわいがれるように、トラの繁殖が頻繁に繰り返される。適切な放飼場やエサ、獣医による世話が与えられていないことも多い。(参考記事:「米国で飼育されるトラ、その痛ましい現状とは」

「タイガーキングで見たあらゆることが、今回の件で1つの輪につながりました」と米動物園水族館協会のダニエル・アッシュ最高経営責任者(CEO)は述べる。同協会は米国内で200以上の動物園を認定しているが、マートルビーチ・サファリのように動物の子どもをなでて楽しむアトラクションのあるところは含まれていない。

次ページ:州を越えた異例の捜査

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