ノーベル化学賞のダウドナ氏、最大の強みは執着心

「ゲノム編集」開発でノーベル化学賞を受賞、自身のキャリアを振り返る

2020.10.08
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ジェニファー・ダウドナ氏。2019年1月10日、米国カリフォルニア州バークレーにて。(PHOTOGRAPH BY ERIKA LARSON)
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ジェニファー・ダウドナ氏は、エマニュエル・シャルパンティエ氏とともにゲノム編集技術を開発し、2020年のノーベル化学賞を受賞しました。 この記事では書籍『Women ここにいる私』に掲載された、ダウドナ氏へのインタビューを紹介します。聞き手はナショナル ジオグラフィック英語版編集長スーザン・ゴールドバーグ。書籍についてくわしくはこのリンクの紹介ページをご覧ください。

 ジェニファー・ダウドナ氏は小学6年生のとき、DNA研究の先駆者ジェームズ・ワトソンの著書『二重らせん』を父親から贈られ、その面白さに取りつかれた。カリフォルニアの小さな大学で生化学を修めたあと、本人いわく「驚いたことに」、ハーバード大学の大学院に入学を許可される。ここでダウドナ氏は、かねてから強い興味を抱いていたRNAの先駆的な研究に取り組んだ。

 彼女が何年もかけて調査したのは、珍しい塩基配列を持つCRISPRというたんぱく質と、その機能である。ダウドナ氏は2011年、微生物学者のエマニュエル・シャルパンティエ氏を共同研究者に迎え、翌年にCRISPRに関する画期的な発見を公表した。CRISPRをCas9酵素と組み合わせると、極めて高い精度でDNAを切断できることを突き止めたのだ。(参考記事:「生命を自在に変えるDNA革命」

 この遺伝子編集技術は、過去1世紀においてもっとも偉大な科学的ブレークスルーとの呼び声も高い。ダウドナ氏は現在、カリフォルニア大学バークレー校の教授として研究を続け、遺伝子操作技術の倫理的な活用を提唱している。(参考記事:「中国の遺伝子編集ベビー、短命のリスクも、研究」

 2020年3月刊行の書籍『Women ここにいる私』から、ジェニファー・ダウドナ氏へのインタビューを紹介する。

――早速質問を始めさせてください。ご自身をフェミニストだとお考えですか?

 良い質問ですね。いうなれば、私は駆け出しのフェミニストです。理由を説明しましょう。キャリアの最初のうち、私は「女性科学者」として振る舞うことをできる限り避けていました。性別に関係なく1人の科学者として、仕事熱心な研究者として認められたいと願っていましたし、性別に基づくいかなる利益も不利益も受けたくはなかったからです。(参考記事:「不当な評価を受けてきた女性科学者6人」

 同様の理由で、特定のグループと同一視されることを嫌う人は少なくありません。彼らが望むのは個人としての評価、功績に基づく評価であり、自分では変えられない出生時の条件によって特別に配慮されたいとは思っていないのです。

 少なくとも40代を通して、私はそう考えていました。しかしここ10年ほど自分をよく観察し、これが一種の偏見であることに気がつきました。意図的ではなかったにせよ、私は女性に偏見を持っていたのです。

 以来、私は柔軟な心で女性を理解することの大切さを学んでいます。女性が直面する課題や、国内外のメディアにおける女性の取り上げられ方、文化による女性像の違い、その一例である職業的役割の違いなど、多くのことを知りました。こうした課題については、今後も議論を続けていく必要があります。母親になりたい女性も、働きたい女性も、それを両立させたい女性も、すべての女性が安心して社会貢献できる仕組みを作ることが重要でしょう。

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