古代エジプト、平和な黄金時代を築いた稀代のロイヤルカップル

ツタンカーメンの祖父母、アメンホテプ3世と“偉大なる王妃”ティイの物語

2021.01.03
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「青い王冠」として知られるケプレシュを被る、若き日のアメンホテプ3世(左)。エジプト、カイロのエジプト考古学博物館所蔵。ティイの像(右)は、夫が亡くなり、息子が王位を継承した後に作られた。ドイツ、ベルリンのエジプト博物館所蔵。 (LEFT: ARALDO DE LUCA; RIGHT: BPK/SCALA, FLORENCE)

 アメンホテプ3世と「偉大なる王妃」ティイによる長き治世は、エジプトの黄金時代だったと言える。紀元前1391年から1353年の38年間にわたり、彼らは広大で豊かな国を共に治めた。エジプト第18王朝のこの時代には、ヌビアやレバントからもたらされた富で巨大な建造物が造られ、新しい芸術表現が花開いた。ヌビアは現在のエジプトからスーダンにかけた地域、レバントはシリアからヨルダンにかけた東部地中海沿岸地域にあたる。

 アメンホテプ3世の治世は、古代エジプト史において最も多く記録が残っている時代の一つでもある。父トトメス4世は、エジプトが栄華を極めた頃に息子に王位を譲った。帝国の版図(はんと)は今日のシリアにあるユーフラテス川からスーダンにあるナイル川第4急流まで、およそ2000キロメートルにも及んだ。アメンホテプ3世の時代の初期には、金を産出するヌビアに侵攻して制圧に成功し、以後はおおむね平和で豊かな国として発展する。

アメンホテプ3世が造らせたルクソール神殿は、エジプト中で最も保存状態が良い神殿の1つだ。(FABRICE CATELOY/AGE FOTOSTOCK)

 この穏やかな時代の豊富な記録は、今日の考古学者や歴史学者を大いに喜ばせている。また初期の治世の様子がスカラベ(甲虫)をかたどったせっけん石のお守り(アミュレット)にいくつも刻まれ、アメンホテプの成功と当時の出来事が称えられている。

 彼が国を治めていた間、宮殿や墓所、神殿、記念碑など、250もの巨大建造物が造られた。いずれも王の権勢を物語る絵画やレリーフで装飾されている。

次ページ:王の偉業を伝える品々

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