“アーサー王生誕の地”に要塞跡、英「暗黒時代」に光

伝説ゆかりのティンタジェル、出土品が物語るブリタニアの栄華の歴史

2021.01.11
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コーンウォールの海岸に位置するティンタジェルの史跡では、アーサー王伝説に着想を得た像が旅人を迎えてくれる。(PHOTOGRAPH BY MATT CARDY, GETTY IMAGES)

 このときに遺跡の未発掘だったエリアから発見された道状の溝はわずかだったが、厚さ1メートル超の巨大な岩壁も見つかった。当時の既知の構造物と比べ、はるかに堅牢であることも確認された。数百におよぶ小さな出土品は、陽光降り注ぐ東ローマ帝国の海辺から輸入されたぜいたくな品々が、風の吹きすさぶこの英国の岬まで運ばれていたことを明確に示していたのだ。

 学者らは、ドゥムノニアの人々がこれらの高級品と引き換えに売っていたのは、地元産の錫(すず)だったと考えており、そのほか、奴隷や狩猟用のイヌだった可能性もあるとしている。

文学と考古学と神話学

 当時「イングリッシュ・ヘリテージ」で史跡に関する上級研究員を務め、現在はカーディフ大学の考古学者のスーザン・グリーニー氏は、アーサー王伝説と、今回ティンタジェルで発見されたものとの関連をはっきりと否定する。「アーサー王との関連性があっても、それは純粋に文学的、伝説的なものです。アーサーを探すことを目的とした研究プロジェクトに私たちが着手することは絶対にありえません」とグリーニー氏は念を押す。

 2016年初め、「イングリッシュ・ヘリテージ」は専門家から批判を受けていた。遺跡がある崖にマーリン(アーサー王伝説に登場する魔術師)の肖像を彫るよう依頼したことが、ティンタジェルとアーサー王とのつながりを「ディズニー化」しようとする行為だというのがその理由だ。

 グリーニー氏は、5年間のプロジェクトの目的は、古代ドゥムノニアにおける国際的な生活を、より深く理解することにあると強調した。具体的には、彼らはどんな人々だったのか、何を交易していたのか、そしてティンタジェルのような海岸沿いの交易地の多くが、なぜ7世紀に放棄されてしまったのかを明らかにすることだ。

「これらの遺跡の中には、ストーンヘンジ以上に分かっていないものもあるのです」と、グリーニー氏は言う。

 アーサー王は単なる文学上の存在に過ぎないと一蹴する学者がいる一方で、違う見方をする学者もいる。「アーサー王の史実性を示す証拠はありません。でも、アーサー王が誰かにでっちあげられた架空の人物であることを示す証拠もないのです」。こう話したのは、米ミシシッピ州立大学の学部長兼歴史学教授で、『The World of King Arthur(アーサー王の世界)』の著者であるクリストファー・スナイダー氏だ。

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