9月9日水曜日、米カリフォルニア州の住民が目を覚ますと、この世の終わりのような光景が広がっていた。州の各地で燃え広がる森林火災の煙が太陽を覆い隠し、空を気味の悪いオレンジ色に染めていたからだ。

カリフォルニア州は現在、多数の大規模な森林火災と闘っている。今シーズンだけですでに28件の森林火災が発生し、面積1万3000平方キロメートルほど(東京都の面積のほぼ6倍)が焼失した。これは記録的な数値だ。そして森林火災のシーズンはまだ4カ月も続く。気候変動によってカリフォルニア州では森林火災シーズンが長期化し、より深刻な被害をもたらすようになっている。
カリフォルニア州北部では、落雷で発生した森林火災の炎が強い突風にあおられて勢いを増した。「ベア火災」と名付けられたこの火災のために、各地で住民が避難を余儀なくされた。
強風によって運ばれた煙と灰は240キロ南のサンフランシスコ湾岸地域にまで達し、大気の質は危険な水準にまで悪化している。森林火災の煙はさまざまな健康障害の原因となる。この煙を吸った肺は呼吸器感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)にかかりやすくなるため、パンデミック(世界的な大流行)の渦中ではとりわけ危険だ。
ギャラリーに掲載した写真を見てもわかるように、この地域は森林火災から立ち昇る巨大な煙のために、一日中現実とは思えないほど濃いオレンジ色の光りで覆われた。サンフランシスコ湾岸地区空気品質管理委員会によれば、このような現象は、空気中の煙粒子がフィルターのような役割を果たして光を散乱させることによって起こる。可視光のほとんどの色は煙粒子によって遮断されるが、赤とオレンジ色は波長が長いためにこのフィルターを通り抜けることができる。ただし、煙が特に濃い場合はこれらの色も吸収されてしまうことがある。真っ昼間に暗くなった地域があるのはそのためだ。
【この記事の写真をもっと見る】ギャラリー:奇妙な色に染まったカリフォルニア、相次ぐ森林火災 写真あと8点

写真家がとらえた、灰と煙に覆われたオレンジ色の世界。これは、気候変動がもたらす未来の光景なのか。
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