世界の漂着ごみ、食品包装用プラスチックが最多に

34年間1位だったタバコの吸い殻を抜く

2020.09.11
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フィリピン、フリーダムアイランドのエコツーリズム地区に漂うプラスチックごみ(PHOTOGRAPH BY RANDY OLSON, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 世界の海岸に打ち上げられた漂着ごみで、キャンディの包装材やスナック菓子の空き袋といったプラスチックの食品包装材が初めてタバコの吸い殻を上回り、最多となった。

 歓迎されないこの統計値は、環境保護団体オーシャン・コンサーバンシーが毎年行っている海岸清掃活動(ビーチクリーンアップ)の最新の報告書で明らかになった。2019年の清掃活動では、116カ国の海岸から9400トンを超えるごみが1日で回収された。その数は3250万点にのぼる。

 プラスチック包装材は、2002年から2014年の間に米国、ヨーロッパ、中国、インドで生産されたプラスチックの45パーセント近くを占めており、世界のごみの中でも主要な位置を占める。それでも、オーシャン・コンサーバンシーの34年に及ぶ海岸清掃活動では、小さなタバコのフィルターがずっと1位を維持してきた。2位に後退した2019年も、タバコの吸い殻は420万本も回収されている。1位になった食品包装材は、合計で470万点以上が回収された。

 回収されたごみの概要は国別、種類別に集計され、9月8日付けでインターネット上に公開された(外部サイト)。ごみは、南極を除くすべての大陸の海岸から回収された。

 10位以内にランクインしたその他のアイテムは、プラスチックボトルやキャップ、ストローとマドラー、プラスチック製のコップやふた、持ち帰り用容器、ビニール袋など。ほとんどが食品や飲料に関連するごみで、その多くはリサイクルできない。ボトルはリサイクル率が高いが、軽量のプラスチック包装材は機械に詰まってしまうため、リサイクル工程で除外されることが多い。

参考ギャラリー:プラスチックごみに翻弄される動物たち 写真10点(クリックでギャラリーページへ)
プラスチックのパッケージで遊ぶハンドウイルカ。こうしたパッケージは、のどを詰まらせたり、怪我をさせたり、海の動物にダメージを与える可能性がある。米国ハワイ。(PHOTOGRAPH BY FLIP NICKLIN, MINDEN PICTURES/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 タバコのフィルターは酢酸セルロースを原料とする。環境団体は長年、タバコのフィルターは例外的な存在とみなし、プラスチックごみに関連する広範囲の消費者動向に左右されないと考えてきた。参加するボランティアの人数や海岸にもよるが、至るところにあるタバコの吸い殻が今後の清掃活動で1位に返り咲く可能性はあると、オーシャン・コンサーバンシーの海ごみゼロプログラムを監督するニコラス・マロス氏は話している。

「食品包装材がトップになりましたが、これは単に、飲料や食品の使い捨て包装材という持続可能ではないものが生産されている現実が再確認されたにすぎません」。厄介なのは、食品包装材の大部分は消費者がリサイクルしていないか、もともとリサイクルができないかのどちらかだという現状だ。プラスチックごみの扱いが、世界中のほとんどのコミュニティーで「目に余るほど不十分」であることを際立たせる事実だと、マロス氏は言う。

 米国環境保護局によれば、2017年に米国でリサイクルされたプラスチック容器や包装材は13パーセントにとどまる。あらゆる素材の容器や包装材のなかで、リサイクル率は最も低い。

次ページ:世界最大規模、重要な海洋ごみデータ

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