お気に入りの屋根の上に止まる野生のクジャク。米カリフォルニア州ロサンゼルス郡マリナ・デル・レイで撮影された。地元住民が付けた愛称は「チボリ」(目撃された通りの名から付いた)。このクジャクがどこから来たのか、いつまでいるのかは不明だが、これまで快適に暮らしているようだ。(PHOTOGRAPH BY GLENNA GORDON)

 どこから来たのか、何を探しているのか、誰にもわからなかった。だが、虹色の尾羽を広げる玉虫色の青い鳥は、いやでも目につく。ここは米国カリフォルニア州、ウエストロサンゼルスだ。住民から、道を歩く野生のクジャクを見たという報告が寄せられたのは2020年4月のことだった。 (参考記事:「コヨーテはなぜNYのバーの屋根に上ったのか」

「クジャクはとても壮麗で、本当に興奮しました。皆、クジャクを見ようと、外に出てきましたよ」と、写真を撮った現地在住のフォトジャーナリスト、グレナ・ゴードン氏は話す。「当時は、厳しいロックダウンの最中だったこともあり、クジャクはかなりの名物になっていました」 (参考記事:「クジャクの目玉模様、進化の謎を解明」

 突然現れたクジャクを、ピーターと呼ぶ人もいれば、マイケルやチャーリーと名付ける人もいた。地元住民のジェシカ・ロング氏は、数平方キロの住宅街を歩き回る(英語でroam)のが好きなようなので、「ローミオ(Roam-eo)」と呼んでいるが、最初に目撃報告のあった通りの名を取った「チボリ」が愛称として定着した。

 ロング氏は、ボランティアで野良ネコを世話したことはあったものの、鳥――それもクジャク――の世話をするのは初めてだった。

「できるだけのことをしようと思いました。まずクジャクのことを調べることから始めました」と同氏は話す。「ロサンゼルスにある動物園に電話しましたが、ロックダウン中だったこともあり、誰も電話に出ませんでした。次にロサンゼルスの動物管理局に電話をしましたが、電話をかけ直してくれるような職員には出合えませんでした」

 何時間も調査して、クジャクの飼育に関するオンライングループのガイダンスもあって、ようやくクジャクの世話の仕方がわかり始めた。現在、ロング氏は、推定体重4.5キロのクジャクに、木の実や粒餌、乾燥したミミズなどの盛り合わせを与えている(ロング氏はこれを「ビュッフェ・ディナー」と呼んでいる)。そして毎晩のように、車通りの多い道路や近所のネコやイヌから遠ざけるようにしている。

「ロサンゼルス郡で、野生のクジャクを見かけること自体は目新しいことではありません」とロサンゼルスにあるオクシデンタル大学の鳥類学者ジェームズ・メイリー氏は言う。東のアルカディアや南のランチョ・パロス・ベルデスには、かなりの数が野生化して生息し、中には害鳥と考える人もいるほどだ。だが、ロサンゼルス市内のウエストロサンゼルス地区で、クジャクが目撃されることは大変珍しいことだ。

チボリが初めて目撃されたのは2020年の4月のことだった。野生のクジャクは、南のランチョ・パロス・ベルデスや東のアルカディアでは昔から目撃されてきたが、ウエストロサンゼルスでは珍しい。(PHOTOGRAPH BY GLENNA GORDON)

次ページ:そもそも、なぜクジャクが米国に?

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

PHOTO ARK 鳥の箱舟

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト

色も姿も多様な鳥たちの写真約350枚、280種以上を収録。世界各地の珍しい鳥、美しい鳥、変わった鳥など、まだまだ知られていない鳥を紹介します。

定価:本体2,600円+税