「私には夢がある」キング牧師演説と同じ日、正義求める行進再び

ワシントン大行進の記念集会、米国で大きくなるうねりを現場レポート

2020.09.04
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ノースカロライナ州シャーロットから2020年の集会に参加したアレーナ・バトルさんと息子のタマジ・ブロック君。1963年のワシントン大行進から57年後の今年開催された記念集会では、警察と刑事司法改革でまだ多くの問題が残されていることが強調された。(PHOTOGRAPH BY JOSHUA RASHAAD MCFADDEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 1963年8月28日に行われた大規模な人種差別撤廃デモ「ワシントン大行進」から57年後の2020年8月28日、米国の首都ワシントンDCの同じ場所で記念集会が催された。

 その日、米国にとって、長く、息をつく間もない夏が終わろうとしていた。5月25日のジョージ・フロイドさん殺害事件に始まり、8月23日にウィスコンシン州ケノーシャで背後から銃で7発撃たれたジェイコブ・ブレイクさんまで、今年は警官による黒人への暴行事件が相次いで発生した。28日の集会では、こうした一連の事件がどれほどの痛みをもたらしているのかを認めようとしないこの国に対する怒りがぶちまけられた。

「次の世代に可能性を与えたい」

 当初、今年の集会は新型コロナウイルス感染症の影響で参加者が減るとみられていた。しかし実際には、会場に入る前の検温を受けるために、全米から集まった数万人が長蛇の列を作った。検温の後、参加者はネオングリーンのリストバンドと入場券を受け取り、リンカーン記念堂前の会場へ入った。

 集会では、警察改革、投票の権利、そしてより良い、公正で平等な社会を子どもたちに残すことの必要性が訴えられた。大統領選挙を11月に控え、米国では投票妨害や外国による選挙介入が問題視されている。

 ジョージア州ブランズウィックからワシントンDC まで10時間運転してきたターシャ・ジョンソンさんは、2人の息子の友人で今年2月に白人親子に殺害されたアーマード・オーブリーさんを追悼するために集会に参加した。息子は、今もオーブリーさんのことを夢に見るという。

 ジョンソンさんに限らず、多くの参加者は、この国で長年続いてきた黒人への暴力や経済的不公平に抗議するためにここに集ったと話す。

ギャラリー:キング牧師演説と同じ日同じ場所、集会に参加した人々の声 写真14点
2020年の記念集会で、リンカーン記念堂の前に立つアレム・ベケルさん、ヘラニ・ベケルさん、バイーザ・アンテネーさん。「不正義はもうたくさん。未来の世代のために変化をもたらしたくて、ここに来ました」と、アレムさん。(PHOTOGRAPH BY STEPHANIE MEI-LING, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 カリフォルニア州リバーサイドに住むレネー・ジョーンズさんは、ラスベガスの警官に殺されたいとこのために集会に参加した。自分の息子や、甥、姪には、もっと良い未来を与えたいと願っている。

「私たちの前の世代がしてくれたことを、今度は私の子どもたちにしてやりたくて、ここに来ました。彼らに可能性を与えたいと思っています」

 キアー・ウィザースプーンさんは、1963年の行進に参加した祖父母の遺志を受け継ぐ。祖父母はきっと、誇りに思ってくれるでしょう。でもその一方で、私がいまだに祖父母と同じものを相手に闘っていることを知れば、残念に思うでしょうね」

 レイサン・ストロングさんは、中高生の手本になりたいと話す。「教育者として、この場所にいることの重要性や、投票することの意義を若者たちに示さなければと思っています」

次ページ:時代を動かした57年前の行進

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