食べ物の「3秒ルール」、2500回以上科学的に検証してみた

床に落ちてすぐ大量の細菌が付着、むしろ問題は…

2020.09.03
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
科学的な実験の結果、このポテトチップスを食べるかどうかを判断する基準は、3秒以内に拾うかどうかといった時間の問題ではないことが判明した。(PHOTOGRAPH BY LORI ADAMSKI PEEK)
[画像のクリックで拡大表示]

 私たちは子どもの頃から、ある疑問につきまとわれている。落とした食べ物は、はたして食べても安全なのだろうか?

 答えのひとつに、素早く拾えば大丈夫というものがある。いわゆる「3秒ルール」だ。よく似たルールは世界中にあり、米国では「5秒ルール」と呼ばれている。

 それだけに、こうしたルールにさしたる根拠があるとは思えず、世界各地の家族の論争や科学展でもおなじみのテーマになっているが、2500回以上も科学的に測定を行った興味深い実験の結果があるので紹介しよう。

 米ラトガーズ大学の食品科学者ドナルド・シャフナー氏らが、2016年に学術誌「Applied and Environmental Microbiology」に発表した論文によれば、食べ物が細菌だらけの地面に置かれている時間が長いほど、多くの細菌が付着することは間違いなかった。しかし、地面に落ちてすぐの時点で、食べ物にはすでに大量の細菌が付着したという。したがって、3秒であれ5秒であれ、ルールとしては誤りであることを示唆している。

 むしろ問題は、時間ではなく水分だった。水分のある食品(実験で使われたのはスイカ)は、パンやグミのような乾いた食品よりも多くの細菌が付着した。また、タイルやステンレスに比べると、じゅうたんの方が細菌の伝播(でんぱ)は少なかった。これは、実験のために細菌が含まれる液体を塗布したところ、じゅうたんが細菌ごと液体を吸い込んだためだ。

 このような条件とは無縁の3秒ルールは、つまり、かなり直感的なものだ。それではシャフナ―氏らはなぜ、細菌の伝播率を2500回以上も測定する手の込んだ実験を行ったのだろう?

次ページ:それでも3秒ルールは存在し続ける可能性が高い

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

その話、諸説あります。

この世界はわかっていることよりも、わかっていないことの方が多い。研究者たちは仮説を立て、検証を繰り返して、事実に迫ろうとする。本書では、さまざまなジャンルで提唱されている“謎"と、その解明に迫る“諸説"を紹介する。

定価:本体1,750円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加