南米大陸は南でなく南東 誤解だらけの「頭の中の世界地図」

見慣れた世界地図を、多くの人が地理的に誤って記憶してしまうのには理由があった

2020.09.20
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多くの人の頭の中には世界地図のイメージがある。ただ頭の中の地図と異なり、実際の南アメリカ大陸はその大半が北アメリカと比べて東寄りに位置している。(COURTESY DAVID RUMSEY MAP COLLECTION)

 人は、頭の中に世界地図をもち、地球上の場所を思い浮かべる際には、その地図を参照してイメージする。ただ、この「頭の中の世界地図」は正確無比というものではない。たいていの人の頭の中の世界地図は同じように間違っていて、簡単に修正することができない。

 具体的な例を挙げてみよう。例えば、誰でも南アメリカが北アメリカの南にあることを知っている。でも、実際の南アメリカ大陸のほとんどが米国の南東にあるフロリダ州よりも「東」に位置していると聞けば、意外と思う人がほとんどだと思う。

 それくらい私たちがイメージする世界地図と、現実の世界地図との間には違いがあり、こうした地理的な勘違いにもそれなりの理由があると、地図製作者のジョン・ネルソン氏は言う。

 ネルソン氏は「頭の中の地図は詳細なものではなく単純化されたものであること。また、南北アメリカ大陸の位置関係を思い違いしている原因は、名称も一因だ」と考えている。南アメリカがもし「南東アメリカ」と呼ばれていたなら、もっと正確に南アメリカ大陸の位置を把握できていたかもしれない。

 ネルソン氏の父は、米セントラルミシガン大学の地理学の教授だった。教授は、1992年に、同僚たちと共著で地理的な勘違いについての論文をまとめていて、高校で地理を教えていたネルソン氏の母もこれを手伝っていたという。「わたしが小さいころ、夕食の席でこの論文について両親が話をしていたのを覚えています」(ネルソン氏)。同氏は最近、父らがまとめた論文を読み返し、先ほど例に上げた南北アメリカの関係性をはじめ、地図に関する3つの勘違いを解説するウェブページを作った。(参考記事:「ダ・ヴィンチが変革、正確で美しい500年前の地図」

大陸の位置関係の勘違い

 位置を誤解されがちな大陸は、南アメリカ大陸だけではない。同じように、アフリカ大陸も誤解されたイメージが頭の中に定着している。特に北米の人は、アフリカ大陸は南アメリカ大陸と同じように、大陸のほとんどが南半球にあると考えがちだ。実際には、アフリカの約3分の2が赤道よりも北に位置している。

アフリカ大陸の半分以上は赤道よりも北にある。たいていの人の頭の中の地図では、アフリカ大陸の大半が、大西洋を挟んで南アメリカ大陸のちょうど向かいに位置すると思い込んでいる。(COURTESY JOHN NELSON, ESRI)

 多くの米国人は、ヨーロッパが実際よりもはるか南にあると頭の中の世界地図で認識していて、米国本土から大西洋を挟んだ真向かいにヨーロッパがあると考えている。事実を見ると、英仏などのヨーロッパと近い緯度にあるのは、米国というよりカナダのほうだ。パリはモントリオールよりもはるかに北にある。米国と同緯度なのは、バルセロナでようやくシカゴ、ベネチアはオレゴン州ポートランドとなる。

 この件に関してネルソン氏は「気候が関係しているのではないか」という。西ヨーロッパは、メキシコ湾流のおかげで緯度が高いわりには比較的温暖だ。この海流はメキシコ湾から暖かい海水を大西洋の向こうへと運び、ヨーロッパにいわゆる地中海性気候をもたらし、一帯の気温はカナダよりも米国本土に近い。

ヨーロッパは大西洋を挟んで米国の真向かいにあると多くの米国人は考えている。現実のヨーロッパはもっと北にある。地図の破線が示す通り、イタリアのベネチアは、米ミネソタ州ミネアポリスと同緯度に位置している。(COURTESY JOHN NELSON, ESRI)

次ページ:地図が誤解を植え付けることもある

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