北極圏の夏の海氷、熱波で7月は最小を記録、15年後には消滅か

最新モデルの予測が発表される、7月の海氷面積は1979年以降で最小に

2020.08.19
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アラスカ州ウトキアグビク(旧バロー)沖の北極海。非常に冬が暖かかった2015年の6月に撮影。(PHOTOGRAPH BY KATIE ORLINSKY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 2020年の7月に北極海を覆っていた海氷は、1979年に人工衛星による観測が開始されて以来、どの年の7月よりも少なかった。これにより、北極海が氷のない夏を迎えるという避けがたい未来に向けて、また一歩進んだことになる。

 北極海の海氷は毎年、長く暗い冬の間に海面が凍って拡大する。その面積は3月に最大約1500万平方キロメートルに達し、北極海のほぼ全体を覆い尽くす。氷は夏の間に解けてゆき、最も小さくなるのは9月だ。

 1980年代の7月には平均で、米国やカナダの面積にほぼ匹敵する約980万平方キロメートルが氷に覆われていた。対して今年の7月、北極海を覆う海氷の面積はわずか720万平方キロメートルだった。1979年以降、北極海の氷は毎年平均7万平方キロメートルずつ縮小しており、逆に大きくなったことは一度もない。

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 学術誌「Nature Climate Change」に8月10日付けで掲載された研究によれば、2035年までに、北極海の夏の氷は完全に失われる可能性が高いという。

「今回の結果は、事態が非常に速く進行しているという事実を浮き彫りにしており、これまで予想されていたよりも早い対処が必要であることが明らかになりました」。論文の筆頭著者であり、英南極調査所(BAS)の気候科学者、マリア・ビットリア・グァリーノ氏はそう述べている。

次ページ:夏の海氷がなかったかもしれない13万年前

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