周囲の雪景色に溶け込むカナダオオヤマネコ(Lynx canadensis)。カナダのユーコン準州南部で。(PHOTOGRAPH BY PETER MATHER)
周囲の雪景色に溶け込むカナダオオヤマネコ(Lynx canadensis)。カナダのユーコン準州南部で。(PHOTOGRAPH BY PETER MATHER)

 自然豊かな米アラスカ州では、ヘラジカやクマなどの野生動物に遭遇することは珍しくない。だが、カナダオオヤマネコ(Lynx canadensis)となると話は違う。耳の上に房毛があり、足はミトンのようにふっくらとした美しいその姿を目にするのは、特別な体験だった。

 それが、最近では様子が変わってきている。アラスカ州で最も人口が多いアンカレッジで、今カナダオオヤマネコが頻繁に目撃されているという。

「ソーシャルメディアに多くの写真が投稿されているのを見ると、いたるところに姿を現しているようです」と、アラスカ州漁業狩猟局の野生生物学者デビッド・サールフェルド氏は話す。また多くの人は、体重9~14キロほどのカナダオオヤマネコが獲物に襲い掛かるときの様子や、子ネコ同士で遊んでいる姿など、ペットのイエネコとよく似ていることに驚くという。(参考記事:【動画】オオヤマネコの樹上対決、唸り声が怖すぎ

「普通のネコのように、ポーチに上がって窓から家の中を覗き込んでいたという情報がとても多く寄せられています」

生物学者たちは、ユーコン準州にあるクルアニ国立公園で、カナダオオヤマネコを40年間研究してきた。写真は園内にあるキャスリーン湖。(PHOTOGRAPH BY PETER MATHER)
生物学者たちは、ユーコン準州にあるクルアニ国立公園で、カナダオオヤマネコを40年間研究してきた。写真は園内にあるキャスリーン湖。(PHOTOGRAPH BY PETER MATHER)

 目撃情報が増えている理由は、おそらく好物の獲物であるカンジキウサギ(Lepus americanus)の数がピークに達しているためと考えられる。カンジキウサギの個体数は8~11年ごとに増えたり減ったりを繰り返す。そして、今のようにカンジキウサギが増える時期は、カナダオオヤマネコの数も増える。

 アンカレッジだけにとどまらず、カナダオオヤマネコはアラスカ州全土からカナダの北部にまで広がり、時にはカナダとの国境を越えてやってくることもある。1匹のオオヤマネコがいったいどこまで移動できるのか、少し前まではほとんど知られていなかったが、5年前に始まった「ノースウエスト・ボレアル・リンクス・プロジェクト」による追跡調査のおかげで、オオヤマネコたちはこれまで考えられていたよりもはるかに多くの困難を乗り越え、遠くまで足を延ばしていたことが明らかにされた。

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