始球式の歴史、トランプ氏は今年も「登板」せず

米大リーグの開幕戦は大統領による始球式が恒例だが、今年はこの人だった

2020.08.06
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 ウォルター・ジョンソンという投手の伝記によれば、その日にタフト大統領が始球式を行うというアイデアを思いついたのは、ナショナルズの監督だったジミー・マカリアーだった。大統領は同意したが、ひとひねりを加えた投球を行った。ジョンソンはこう書いている。「試合開始のベルがなると、観覧席にいた大統領が立ち上がり、投球の構えに入った。ギャビー・ストリートがホームベースに立って球を待っていたが、大統領は突然姿勢を変えて私をめがけてボールを投げた。コントロールはとても正確だった」

1937年のオールスターゲームで、ルーズベルト大統領が投げた始球式の球に集まる選手たち。この球を捕ったのは、ニューヨーク・ジャイアンツの外野手ジョー・ムーアだった。(PHOTOGRAPH COURTESY THE HARRIS & EWING COLLECTION, LIBRARY OF CONGRESS)
1937年のオールスターゲームで、ルーズベルト大統領が投げた始球式の球に集まる選手たち。この球を捕ったのは、ニューヨーク・ジャイアンツの外野手ジョー・ムーアだった。(PHOTOGRAPH COURTESY THE HARRIS & EWING COLLECTION, LIBRARY OF CONGRESS)

 翌日、スポーツ各紙がこの出来事を興奮気味に報じた。ワシントン・ポスト紙はこう書いている。「野球シーズンの開幕はこれまで何度もあったが、昨日のような日は初めてだ。ナショナルズがアスレチックスに3対0で勝利した。スタンドはどこも超満員で、窒息しそうなほどだった」。イブニング・スター紙は、「大統領は最高のファンの一人だ。試合を最後まで観戦し、勝利を勝ち取ったマカリアー監督が荷物をまとめて引き上げる瞬間まで見届けた」と書いた。

 翌年もタフト大統領は球場にやってきた。それ以来、大統領が開幕戦で始球式を行うという伝統は現在まで続き、ほとんどの大統領は在任期間中に一度は始球式を行っている。ただし、その伝統は年とともに少しずつ変わっている。1973年、リチャード・ニクソン大統領は、初めてワシントンD.C.以外で行われた開幕戦で始球式を務めた。この時期、ワシントンD.C.には一時的に野球チームがなくなっていたからだ。観覧席ではなくマウンドから投球したのは、1988年のロナルド・レーガン大統領が初めてだ。

ギャラリー:米国野球伝統の始球式、名場面集 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:米国野球伝統の始球式、名場面集 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
1916年の開幕戦で、一期目の任期中だったウッドロウ・ウィルソン大統領が始球式を行った。(PHOTOGRAPH COURTESY THE NATIONAL PHOTO COMPANY COLLECTION, LIBRARY OF CONGRESS)

 在任中に開幕戦で始球式を行っていないのは、カーター氏とトランプ氏の二人だけだ。カーター氏は1979 年のワールドシリーズ最終戦で始球式を行い、大統領退任後には開幕戦での始球式も務めている。トランプ氏は2006年に行われたレッドソックスの試合で始球式に登場したが、大統領就任後は行っていない。

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文=AMY MCKEEVER/訳=鈴木和博

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