新型コロナワクチン、注目の有力候補はこの7つ

開発が急がれるワクチン、最終治験に進み期待を集める先行組とその現状

2020.08.05
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2020年7月27日、米ニューヨーク州ビンガムトンで、志願者のメリッサ・ハーティングさんにワクチンを接種する看護師のキャス・オルムステッドさん(右)。モデルナ社と米国立衛生研究所が共同開発しているCOVID-19ワクチン候補の研究の一環。(PHOTOGRAPH BY HANS PENNIK, AP PHOTO)
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 現在、新型コロナウイルスワクチンは、世界各地で150種類以上が開発されている。なるべく早く市場へ投入するために、たとえば米国政府は「オペレーション・ワープ・スピード」に着手している。これは100億ドル(約1兆円)を拠出して、2021年1月までに、安全かつ効果的なコロナウイルスワクチンの開発と、3億回分の供給を目指すというものだ。世界保健機関(WHO)もまた、2021年末までに20億回分のワクチンを供給することを目標に、世界的な取り組みを進めている。

 すべてのワクチン候補が目指す成果は、防御を備えておくよう免疫系に指示することだ。(参考記事:「ワクチンはなぜ重要なのか? その歴史と仕組み」

 コロナウイルスそのものを殺したり、弱めたりした状態で用いるワクチンもあれば、ウイルスの一部(タンパク質や欠片)だけを使用するものもある。コロナウイルスのタンパク質を、発病の可能性が低い、あるいは発病できない別のウイルスに移植するものもある。また、開発中のものの中には、コロナウイルスの遺伝子の一部をワクチンに導入することによって、人間の細胞が一時的に、免疫系を刺激するために必要なコロナウイルスのタンパク質を作るようにするものも存在する。

 ワクチンを市場に出すまでの期間は通常、10〜15年だ。ワクチンの臨床試験には、何段階ものプロセスがある。まずは少人数の健康な人々のグループを対象に、安全性と、免疫反応が誘発されるかどうかを確認する第1相試験。次の第2相試験では対象を拡大し、当該の病気に罹患している、あるいは罹患する可能性の高い人たちを含めて、ワクチンの有効性を評価する。第3相試験では、対象者を数千人にまで増やし、より多様な人々でワクチンの安全性と効果を確かめる。その後ワクチンは規制当局の承認を受けることになるが、これ自体に長い時間がかかることもある。

 承認後も、製造や流通においてさまざまな障壁にぶつかる可能性がある。需要に見合う規模まで生産を拡大できるのか、最初にどんな人たちにワクチンを投与すべきなのか、コストはどのくらいかかるのか、といったことだ。また多くのワクチンは、引き続き第4相試験と呼ばれる、無期限で続けられる研究の対象となる。

 どのワクチンが最終的に成功するかを断じるのは時期尚早ではあるが、以下に、第3相臨床試験以降に進んだ有力候補を紹介しよう。

次ページ:モデルナ社、ファイザー社、オックスフォード大

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